錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
ATPポイント無しだが選手村は楽しみ。
錦織圭、リオ五輪での悩みどころ。
posted2016/07/23 08:00
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Hiromasa Mano
ウィンブルドンの4回戦途中棄権から2週間以上が経った。悪化してしまった左脇腹の治療や、スポンサーイベントなどのため日本に帰国していた錦織圭は、先週末アメリカに戻ってトレーニングを再開。マイケル・チャン・コーチが主催するエキシビションマッチで軽く肩ならしを終え、25日にトロントで開幕するマスターズ大会、リオ・オリンピック、シンシナチ・マスターズ、そして全米オープンと、6週間にビッグイベント4つという超ハードな夏に突入する。
この1週間だけでも、ミロシュ・ラオニッチ、トマーシュ・ベルディヒ、リシャール・ガスケがオリンピック出場を辞退、アンディ・マレーとロジャー・フェデラー、ラファエル・ナダルというビッグネームがカナダ・マスターズ欠場を発表した。ガスケとナダルはそれぞれケガが完治していないという理由だが、この夏のスケジュールはどこかで何かをあきらめなければ乗り切れないのかもしれない。無理をすれば〈虻蜂取らず〉の結果を招くことになりかねないだろう。
リオに向けて最大の難敵はメンタルの切り替えか。
そんな中、錦織はこの4イベントをフルに戦う決意をした。
個人としてのツアーと、国の代表としてのオリンピック。
「自分のため」の前者に対して、自分が属する「集団のため」の意味合いが濃い後者。気持ちを切り替える時間がない中で、その全てにトップギアで臨むことは至難の業だが、そんなことは錦織自身がわかっている中で下した決断だ。
先週半ば、オリンピックに向けての記者会見に臨んだ錦織は、ケガの回復具合や、ウィンブルドンでの同世代ラオニッチの活躍、そしてオリンピックを控えた現在の胸の内などさまざまな質問に答えた。
会見の中で、錦織がオリンピックの意義や楽しみを自分なりに懸命に膨らませ、そこにモチベーションを見いだそうとしてきた姿勢がうかがえた。そうすることで、このスケジュールに挑む覚悟に至ったのだろう。