イレギュラーしたボールを難なく掴む守備の黄金則。

　諏訪は実は、昨秋の新チームからの遊撃手だ。

　派手さはなくても、捕球体勢に入った打球を間違いなくアウトにしてみせる……そんな堅実さが持ち味だろう。

　この試合、三遊間寄りに飛んだゴロをバックハンドで捕球して一塁に刺したプレー。実は捕球点直前、最後のバウンドで打球は微妙にイレギュラーしていた。

　普通の高校生なら、エラーにつながっていたはずだ。諏訪がそれでも打球をグラブにおさめ、なにごともなかったようにスローイングに持ち込めたのは、捕球点まで目が追っていく。そういう基本技ができていたからだ。

　球際に強い選手は、例外なくボールを最後まで見ている。

　それは、バッティングにも共通する“黄金則”だ。ここ一番でチームのピンチを救うのはそうした、目に見えない、もしくは目に見えにくい基本技なのかもしれない。

1年生の夏から名門で4番を打つ蛭間拓哉。

　今年の浦和学院には、来年、再来年が楽しみな1年生もいる。

　ライトを守った蛭間拓哉（174cm74kg・左投左打）。桐生（群馬）の相生中学の出身だ。

　1年の夏から強豪の4番を打つのは、本人にもそれなりの覚悟がいるし、使う側にはそれ以上の“確信”が必要になる。間違いなく、見込まれた選手のはずだ。

　試合前のシートノック。

　ダイレクトでホームに返球してくるボールの伸びとコントロールに、1年生とは思えない体の強靭さとボディーバランスの良さが見える。

　ウェイティング・サークルでも相手投手の1球1球にタイミングを合わせ、バットヘッドを立て、インパクトを志向したスイング軌道のおさらいに余念がない。“心がけ”もしっかりしている。

　この試合、3安打、4安打の大暴れはなかったものの、中堅手が一瞬打球を見失ったほどのライナーの伸びに、この1年生スラッガー候補の素質の片鱗を見た。

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