サムライブルーの原材料BACK NUMBER
U-23で一番サッカーを「楽しむ」男。
中島翔哉は、リオで最高に目立つ!
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byShidu Murai
posted2016/07/02 07:00
チームメイトのゴールを最高の笑顔で喜ぶ。それが自分から10番を奪った相手でも。中島翔哉とは、そういう男である。
手倉森監督「本当に試合に出ていないんだろうか」
面白くない=楽しめていない。
楽しむには、余裕を持たなければならない。心に余裕を持たせるには、技術にも体力にも自信を持っておかなければならない。つまりはそのための準備をしておかなければならない。楽しんでやれたのであれば、それはすなわちいい準備をしてきたということになる。
これまでも、FC東京のトップチームで出場できる試合は限られてきたが、J3の「FC東京U-23」で己を磨いてきた。
南アフリカ戦後の会見で手倉森誠監督が、「普段、本当に試合に出ていないんだろうか」と目を丸くしたほどの存在感。アルウィンでの躍動は、中島の取り組みが正しかったことの証明ともなった。
「どこで試合をしても一番目立つ選手になりたい」
中島は言っていた。
「J1であってもJ3であっても、どこで試合をしても一番目立つ選手になりたい」のだと。
親善試合の南アフリカ戦であろうとオリンピックの大舞台であろうと、ひょっとすると彼にとって大差はないのかもしれない。常に「楽しめているか」を自問自答し、いかなる試合でも自分であろうとする。そしてチームの勝利のために、全力を尽くす。
7月1日に発表された18人の大会メンバーのなかに、中島翔哉の名前はあった。「崖っぷち」の評価は、「順当」に変わっていた。
リオで中島がどんなプレーをするのか、楽しみでならない。それは何故か。
あの南アフリカ戦で彼が楽しんだ以上に、スタンドで観て一番楽しめたのが中島のプレーだったからである。
リオで彼が心底楽しめたときに、どんなドラマが待っているのだろうか。