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手倉森監督が辿り着いた「黄金比率」。
なぜFWを削り、後ろを厚くしたか。
posted2016/07/01 17:10
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
AFLO
手倉森誠監督らしいチームである。7月1日に発表されたリオ五輪のメンバーだ。
サプライズはない。
GKは5月のトゥーロン国際にも招集された櫛引政敏(鹿島)と中村航輔(柏)のふたりだ。
最終ラインはCBとサイドバックが3人ずつである。センターバックはオーバーエイジの塩谷司(広島)、植田直通(鹿島)、岩波拓也(神戸)の3人だ。トゥーロン国際で負傷した岩波のコンディションが危惧されたが、「思った以上に回復が早い。間違いなく間に合う」(手倉森監督)との判断が下された。
サイドバックはOAの藤春廣輝(G大阪)、亀川諒史(福岡)、室屋成(FC東京)の3人でカバーする。藤春は左サイドのスペシャリストで、亀川と室屋は左右両サイドに対応できる。右サイドの人材が不足した場合は、塩谷の起用も視野に入る。いずれにしても不足はない。
FWではなくボランチを1枚増やすのが手倉森流。
ボランチは4人が選出された。遠藤航(浦和)、大島僚太(川崎)、原川力(川崎)、井手口陽介(G大阪)である。サイドハーフ枠の矢島慎也(岡山)も最終予選後はボランチで起用されており、彼を加えるとダブルボランチの候補は5人になる。
サイドハーフは矢島、中島翔哉(FC東京)、南野拓実(ザルツブルク)の3人だ。FWも同じく3人で、OAの興梠慎三(浦和)、久保裕也(ヤングボーイズ)、浅野拓磨(広島)が選出された。
中島と南野が2トップの一角に適応する一方で、興梠と浅野は2シャドーの一角やサイドハーフでもプレーできる。チームのベースとなる4-4-2はもちろん、4-2-3-1や4-3-3の布陣も組める顔触れだ。
ボランチが本職の選手を3人に削り、FWをもう1枚増やす選択肢もあっただろう。バックアップメンバーにまわった鈴木武蔵(新潟)を入れることで、高さというオプションを加えることはできた。
それでもFWではなくボランチを厚くしたところに、手倉森監督の“らしさ”が表れている。