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ハリルホジッチのEURO決勝T談義。
「今大会にビッグチームはいない」 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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posted2016/06/30 17:00

ハリルホジッチのEURO決勝T談義。「今大会にビッグチームはいない」<Number Web> photograph by AFLO

現在の代表において、最も「ドイツらしい」ストライカー、マリオ・ゴメス。次戦は相性の悪いイタリアだが果たして……。

スペインの何人かの選手を、私は容認できない。

 ラウンド16最大の大一番であったスペイン対イタリアも結果は順当だった。イタリアは長年にわたり、ずっと同じイメージを保ち続けている。伝統の強固な守備をベースに、モチベーションも高く攻撃も積極的だった。

 スペインには失望した。選手たちは眠ったままでプレーの意志が感じられず、スプリントもほとんどない。アグレッシブさも欠き、パスの本数もいつもに比べ極端に少なかった。この大会でのスペインの何人かの選手の行動を、私は容認できない。スペインには大きな変革、世代交代が今すぐ必要だ。これまで多くのタイトルを獲得してきたが、その功績を讃えながら最速でチームを変えていく。それだけ事態は深刻だ。

 フランスはグループリーグ最終節のスイス戦同様、アイルランドを相手にも前半は苦戦した。ハーフタイムにラディカルな変更を加えて後半にチームがリズムを取り戻したのは、現実的で実践的なデシャン監督の手腕だった。トップ下に入ったグリエスマンが自由に動き、ジルーと補完的な関係を築いて素晴らしいコンビネーションを発揮した。

 ただ、試合の入り方が悪いのは、選手の心理面に問題があるのだろう。監督と選手が話し合って解決すべきことだ。

 自分たちがボールを持っているときに、それぞれがどんなプレーをするのか。相手ボールのときにはどうするのか。前半のフランスは、選手が個々に自己主張することしか考えず、コレクティブなプレーがまったくなかった。そこにフランスの進歩の余地がある。

ドイツはイタリアに対して、全力で先制点を取りに行く。

 さて、これからはじまる準々決勝では、ドイツ対イタリアというビッグゲームがある。スペイン対イタリアというひとつの決勝が終わった後の、本当の決勝の前のもうひとつの決勝。また歴史と伝統のカードでもある。私自身、世紀の戦いといわれた'70年メキシコワールドカップ準決勝(延長の末イタリアが4-3で勝利)を、46年が過ぎた今もいまだ忘れられずにいる。

 マリオ・ゴメスをトップに据えて本来の力を取り戻したドイツと、勝利への強い意志とコレクティブな組織力が自慢のイタリア。お互いに相手を熟知し、見るものも彼らのすべてを分かっている。

 もしもイタリアが先制したら、伝統のカテナチオが力を発揮し、ドイツがどれだけのインスピレーションを見せても、点を取るのはかなり難しい。ドイツもそこを踏まえて準備をする。強い気持ちとアグレッシブなプレーで、全力をあげて先制点を取りにいくだろう。

【次ページ】 ベルギーは上向き、しかしウェールズも強い。

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