JリーグPRESSBACK NUMBER
ACLで浦和がFCソウルに先勝。
Kリーガー高萩洋次郎と日韓新時代。
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byMasashi Hara/Getty Images
posted2016/05/19 15:00
球際で激しく競り合う高萩と槙野。擬似日韓戦とも言える試合は、まさにアジアの頂点を目指すに相応しい熱戦となった。
浦和が仕掛けていた「微調整」とは?
そして、ここ数年のACLでの経験が生み出す「微調整」も効いた。
「ACLでは相手のフィジカルコンタクトが強い。だから激しくいこう、という話が出た。キャンプから繰り返してきた点だからスッと実践できた」(梅崎司)
「メディアにも“韓国勢にフィジカルコンタクトで負けている”と書かれていたのを知っていた。だからこそ強く行こうという意識はあった」(槙野)
いっぽうで、宇賀神の決勝ゴールの場面のように、浦和は通常よりもやや長いボールを相手の裏のスペースに送り込む傾向も見せた。ごくわずかな微調整といったところだったが、これも相手チームの分析結果として「時に5枚となる相手DFラインが中に絞りがち」という点を見出したからだという。
さらに試合の結果に影響を与えたのが、さいたまスタジアム特有の雰囲気だった。チェ監督は相手より多い14本のシュートチャンス(浦和は10本)を逃した理由として、「選手が慌ててしまった」と悔いた。現地に取材に来た韓国記者は「ふだんから応援はこんな雰囲気なのか?」と驚いていたから、Kリーグチームの心理的負担は推して知るべし、だ。
FCソウルで戦術の要として活躍していた高萩洋次郎。
試合後に宇賀神が「まだまだ後半が残っている」と言ったとおり、セカンドレグが残っている段階で結論じみたことは言えない。5月25日、ソウルで行われるゲームで決着がつく。
梅崎司は「今日は相手2トップに強いモチベーションがあるようには見えなかった。ソウルでのゲームは別物になる」という。
槙野は「相手が攻撃的に出てくるだろうが、こちらもひるむべきではない。強い姿勢で戦う」と展望した。
そこで今回は、相手FCソウルの選手としてピッチに立ったある選手についての紹介を。
高萩洋次郎。
試合コメントは他媒体でも掲載されるだろうから、「彼が韓国でどう見られているか」に話題を絞って。
1986年生まれの29歳。
この日対戦した浦和の槙野が「同じ釜の飯を食い、同じ場所で暮らした」と言う通り、サンフレッチェ広島ユース育ちのMFだ。'03年に16歳でトップチーム昇格を果たし、'06年に愛媛FCにレンタル移籍。'07年にサンフレッチェ広島に復帰後、'15年にオーストラリアのウェスタン・シドニーに移籍した。