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ACLで浦和がFCソウルに先勝。
Kリーガー高萩洋次郎と日韓新時代。

posted2016/05/19 15:00

 
ACLで浦和がFCソウルに先勝。Kリーガー高萩洋次郎と日韓新時代。<Number Web> photograph by Masashi Hara/Getty Images

球際で激しく競り合う高萩と槙野。擬似日韓戦とも言える試合は、まさにアジアの頂点を目指すに相応しい熱戦となった。

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吉崎エイジーニョ

吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki

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Masashi Hara/Getty Images

 浦和がハメられないように。

 ゲームの観点はここに尽きた。

 5月18日、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)ノックアウトステージの初戦を戦った浦和レッズの話だ。19時30分からホームにFCソウルを迎え、1-0の勝利を挙げた。

 “ハメられる”とは韓国勢を相手にホームで敗れることはもちろん、引き分けたり、あるいは僅差の結果となった場合に1失点でも食らうことを意味する。

 実際、レッズは韓国勢に“ハメられやすい”チームでもあった。

 実に2007年の優勝時以来、ACLでは韓国勢に勝てていない。ぺトロビッチ監督就任後も5年間で2分4敗。今年もホームで厳しい判定があったとはいえ、グループリーグで浦項スティーラーズに1分1敗と勝てなかった。

 自分たちのスタイルを貫くというスタンスで、浦和は韓国勢に苦杯を嘗め続けてきた。昨年対戦した水原三星(スーウォン)のエース、ヨム・ギフンは「フィジカルコンタクトを厳しくして、後半勝負に持ち込めば勝てる」と、そんな浦和のスタイルを切り捨てた。

宇賀神による“想定外の先制点”で試合が動く。

 一方チェ・ヨンス監督率いるFCソウルは“ハメる”術に長ける。

 '14年5月、川崎フロンターレ相手に等々力で3-2の勝利を挙げた。この時も明らかに「前半は耐え、相手の攻め疲れを待ち、後半勝負」という戦略だった。チェ監督は当時「Jリーグのチームについてはよく知っているから」と言い切った。

 今回の対戦でも悪い予感はあった。

 試合前日の会見でぺトロビッチ監督は「アジアのトレンドを示すゲームをする」と宣言。いっぽうチェ監督は「先制点が欲しい。いっぽうで失点を喫しないことを心掛けたい」と慎重な発言。2列目に入る高萩洋次郎について、パスセンスはもちろんのこと「浦和戦では守備にも期待したい」と口にしていたほどで、よっぽど手堅く来るのだろうと予想できた。

 実際の試合では、浦和の予想外といえるかたちから決まった先制点が流れに大きな影響を及ぼした。

 14分、右DF森脇良太が大きくサイドチェンジを図った。ボールは蹴った本人の予想以上にスライスしたように見えたが、これが左サイドの宇賀神友弥に届いた。宇賀神はこれを「クロスのつもりで蹴った」ところ、ゴールの逆サイドにそのまま入った。

 チェ監督が望んだ先制点は、浦和の手に渡った。

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