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“重し”高橋秀人と“戦う”水沼宏太。
2人が甦らせたFC東京、上海を圧倒。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/05/20 10:30
鳥栖時代から水沼宏太の戦う姿勢は際立っていた。父はあの水沼貴史氏だ。
高橋の影響を選手も監督も体感している。
高橋の一つ前方の中盤でプレーする米本拓司は、この布陣の効果をこう話す。
「ヒデくん(高橋)が後ろにいるので、僕は後ろを見ないで相手との距離を詰められる。みんな守備のやり方がわかりやすくなったところはある」
シーズン序盤は高橋を起用していなかった城福監督も、いまの彼の仕事ぶりをこう評価する。
「まだ上海との第2戦も残しているので詳しくは話せませんが(笑)、高橋がいることで各選手の攻守のバランスがはっきりした。クレバーな選手なので、チームを機能させるためによくプレーしてくれている」
当の高橋本人は、「自分のプレーは最低限」と語り、課題の方に目を向ける。
「今日もマークの受け渡しのところなど、うまくいっていないと感じたところもあった。また上海でのアウェイ戦は相手も攻撃的に来るので、今日の試合とは別物になる」と兜の緒を締めた。
高橋「気持ちはまとまってきた、あとは戦術」
この日喫した1失点は、コンカが出したスルーパスが起点。コンカには高橋と森重が寄せたが、その背後に走った他の選手をフリーにしていた。DFの森重がついていくべきか、高橋や敵の側にいた羽生直剛がカバーに回るべきか。この他にも突き詰める場面は、まだまだ残っている。
「一つ言えることは、自分が試合に出始めたときよりも、チームの雰囲気が苦境を打破しようという感じになっていること。気持ちはだいぶまとまってきたので、あとはさらに戦術的にも柔軟に戦いたい」
自身が先発した試合は3勝1分と負けなしの高橋だが、向ける視線はさらに先にある。
次週、24日に行われる上海での第2戦。第1戦以上に上海上港の攻撃陣が襲いかかってくるのは必至だ。相手よりも走り、戦術的に柔軟に振る舞い、そして耐えるところは耐える。そんな心身ともに再び充実した戦いができたとき、FC東京は次のステージの階段を上る。