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元韓国代表主将のFC東京ハ・デソン。
ACLでの母国チーム戦にかける思い。
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/04/18 17:00
かつてFCソウル主将、韓国代表主将も務めた経験豊富なボランチ、ハ・デソン。
数少ない「日中韓比較論」を話せる存在。
ハ・デソンとACL。ふたつの点で興味深い。ひとつは「韓国人選手として韓国チームと対戦する心情」。そしてもうひとつは、「日中韓リーグを知る存在」ということ。ハは自国のFCソウルから、「リーグ戦で優勝し(2012年)、ACLでも準優勝した(2013年)。新たなモチベーションが必要」と'14年に北京国安へ移籍。2年プレーしたのちに東京に加わった。数少ない「日中韓比較論」を話せる存在でもある。
4月中旬、FC東京の小平練習場を訪ねた。「まだ日本語での試合中のサッカー用語は、ちょっと迷いますね」という彼に話を聞いた。
アジアチャンピオンズリーグに触れる機会に、少し違う視点から見たJリーグ論を。
環境の差と、プレースタイルの大きな違い。
――リーグ開幕後、1カ月半が経ちました。ここまでJリーグでプレーする印象は?
「プレー環境の部分では、北京とはまた違う感じがしています。想像した通りではありますが、『整っている』という感じです。なんというか、東京での生活のほうが『プレーに集中できる』というところです。オンの状況ではリーグ運営がしっかりしているし、小平の練習環境も優れています。中国でも確かに熱狂的なサポーターはいたけれど、日本のサポーターは熱狂的でいてより組織的で、優しい。オフのモードでは日常生活で出かける場所が多いですよね。僕、小さいころからJリーグに来たいと思っていたんですよ。ここでの生活を幸せに感じています」
――これまで、日本のメディアでも「日韓比較」は盛んにおこなわれてきました。いっぽうで「日中韓」の比較はハ選手ならではのものでしょう。中国はどんな場所なのでしょう?
「どの国もそうなんですが、長所短所はありますよね。現地で2年間プレーして感じたことは、『ここで行く』と思った時のパワーのものすごさです。中国選手の技術も高いですよ。しかし、問題があって……気が抜けた時はかなり抜けてしまう。アジアチャンピオンズリーグではそういったシーンはあまりないでしょうが、国内リーグではホームとアウェーで明らかなモチベーションの差があることがあった。同じ状態で試合に臨めない。理由はもちろんメンタリティにあると思うんだけど、もうひとつ、サッカーのスタイルの問題でもある。韓国や日本と比べて、戦術的な組織に欠けるという部分があるんです。個人でやる、という側面が強い。能力の高い外国人選手がいるという点がその点をさらに助長している。チームとして起伏があるんですよ」