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元韓国代表主将のFC東京ハ・デソン。
ACLでの母国チーム戦にかける思い。 

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吉崎エイジーニョ

吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki

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photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2016/04/18 17:00

元韓国代表主将のFC東京ハ・デソン。ACLでの母国チーム戦にかける思い。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

かつてFCソウル主将、韓国代表主将も務めた経験豊富なボランチ、ハ・デソン。

FC東京は「速い守備をするなという印象」。

――記者席から見る限りでは、日本のチームは守備の個人戦術にも特徴があるような印象です。飛び込まない、剥がされないといった点を気を付ける傾向が感じられます。

「Jリーグの他のクラブはまだまだ対戦を積み重ねないと分かりませんが、少なくともFC東京に関してはこれまで対戦してきたチームよりは速い守備をするなという印象があります。まだまだ自分たちのやりかたがしっかりできていないとは思いますが」

 数多い若手の韓国人選手がJクラブに在籍するなか、ワールドカップ代表の経験を持つハ・デソンは久々に現れた大物でもある。31歳、1985年生まれの彼が、「Jリーグに憧れを抱いていた」という少年時代はおよそ1997年前後。確かにホン・ミョンボら大物選手が大挙して海を渡っていた時代だ。世代を超えて、こういった選手が実際に日本の地を踏むという点に時の流れを感じる。一方で、大物選手が減り、韓国でのJリーグの注目度も年々減少するなか、今後「少年時代の憧れ」と口にする選手が出てくるだろうか。そんな思いも抱いた。

母国チームと対戦するということ。

 最後にハにこの点を聞いてみたかった。韓国人選手として、韓国チームと対戦するのはどんな心情か。こうした自国チームとの対戦は、ACLの歴史で日本勢よりも韓国勢が多く実現させてきたものでもある。

 今季、FCソウルの高萩洋次郎がグループリーグで古巣の広島と戦っている。また2012年にはマジョルカから蔚山現代にレンタル移籍中だった家長昭博がグループリーグでFC東京と対戦したりもした。

 一方で、韓国勢はこれまで、この点でかなりのドラマを見せてきている。2011年にはアルサッド(カタール)のCBとしてイ・ジョンス(現水原)が準決勝で水原三星、決勝で全北現代と対戦。水原戦では相手選手が負傷で倒れている最中にアルサッドがボールを運び、決定的なアウェーゴールを決めた。これに対し、イは「解雇覚悟で」(本人)自ら交代を申し出る一幕もあった。イは決勝でもアウェーで自国の地を踏み、全北にPK戦で勝利した。直後にインタビューしたが、淡々とした表情で試合を振り返り、クラブワールドカップの話ばかりをしようとしていた点が印象に残っている。

【次ページ】 「普段よりも勝ちたい気持ちが大きくなる」

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