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酒井高徳が感じていた「こんなもん」。
消えた向上心は、いかに復活したか。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2016/04/12 10:40
長らくドイツ、代表でのプレーを観ているので忘れがちだがまだ25歳。伸びしろは存分に残されている。
古巣時代からの恩師が、自分を追い込んでくれる。
その結果、HSVではレギュラーの座をつかみ今に至る。
「今の監督のブルーノ(・ラバディア)は、シュツットガルトにいたときにもオレのことを甘えさせないというか、練習からピリッとさせてくれる監督。そういう彼の姿勢がオレはすごく好きだったし、そういう目があったほうが自分を追い込めるとも思ったんですよ」
自分の中に生まれかねない甘えを排除することもまた、移籍を決めた理由の一つだった。
焦らなくなり、ボール回しにも感じる余裕と自信。
そして最近は、ボールを持ったときの自身の心境の変化も、はっきり感じ取れるようになった。
「最近は、あまり焦らなくなった感じですね。ブンデスでは、相手が激しくプレッシャーをかけに来るのはわかっています。ただチームによっては、本気でボールを取りに来ているわけではないこともあるんですよ。特に、相手のサイドハーフの選手が守備をするときなんかはね。
だから単純に蹴るのではなくて、1回パッと足元でボールを止めると、意外に相手も止まって、ボールを持てる時間が出来るんです。あるいはそのマークを1つ外せば、相手の守備はけっこうもろいんです。その辺の余裕と落ち着きは出てきているから、最近はあまりロングボールとかも蹴らなくなったし。ボール回しというところでは、非常に自信を持って出来ているかなと思います」
勢いに乗ったプレーだけではなく、チームに落ち着きをもたらすプレーも見せる。そして、攻撃の組み立てにも効果的にかかわることが出来るようになった。