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酒井高徳が感じていた「こんなもん」。
消えた向上心は、いかに復活したか。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2016/04/12 10:40
長らくドイツ、代表でのプレーを観ているので忘れがちだがまだ25歳。伸びしろは存分に残されている。
3月の代表戦でも、ビルドアップの起点に。
それは代表に行っても変わらない。3月のシリア戦でも、右サイドから積極的にチャンスに絡んでいった。前半8分や同21分に岡崎のチャンスにつながったシーンも、酒井の効果的なパスが起点となった。
「代表では、チームとしてやるべきことはしっかりと集中して取り組んでいます。そのうえでボールを持った時には、自分がハンブルクで自信を持っていることをそのままやろうと思っていましたね」
酒井は2011-'12シーズンの後半戦からシュツットガルトに加わったが、チームは後半戦に限ってみればリーグで3位の成績を残していた(シーズン終了時の順位は6位)。
そのなかで酒井は14試合に出場し、『キッカー誌』の集計で5アシストという素晴らしい成績を残した。チームが勢いに乗った戦いを続けるなかで、酒井の積極的な攻撃参加は明らかに際立っていた。
ただ、最初のシーズンのパフォーマンスを、酒井がなかなか超えられずにいたのもまた事実だ。
でも、今は違う。
過去の自分は超えた。新たな武器を手にした選手として、どこまで成長できるか。
酒井高徳という選手の将来のキャリアを決める、大切な時間をこれから迎えようとしているのだ。