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見ていて飽きない試合中の名波監督。
その“イズム”がジュビロに浸透中。
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/04/09 10:50
足下にズラリと並ぶ給水ボトル。名波監督の激しい給水と飴は、サポーターの間でも有名になっている。
喜怒哀楽がはっきり出る名波の表情が語るもの。
とはいえ、喜怒哀楽がはっきり出る名波の表情を見れば、この日の内容に確かな手応えがあったことが分かる。途中出場で流れを変えた松井が言う。
「開幕当初より攻める回数も増えているし、良くなっていると思う。パスもつなげるようになっている。最初はそれができず、守っているばかりでしたからね。上位のチームと対戦すれば課題は出てくると思いますけど、コンビネーションは良くなってるはず。ただ、1点を取ってからのリスクマネジメント、ゲームを読む力はまだまだ。追加点を取ることができた試合だと思うので、そういうところを突き詰めていかないと」
キャプテンを務め、かつて名波から後継者に指名された背番号7の上田康太には、「名波さんのサッカーを、どれだけ体現できるようになった?」と聞いた。
「いや、もう、全然。まだまだです。結果を出せていないということもあるし、ボールを支配されている試合が多いので。もっと自分たちで攻守ともにアクションを起こして、自分たちが主導してゲームをコントロールする。それができないと、何も始まらないというか。個人的な手応えもまだまだ。僕自身、この前の試合(福岡戦)では外されましたし、もっともっとチームに貢献しないと」
2013年のジュビロになかった「チームの一体感」。
名波はよく、お灸を据える意味で選手をスタメンから外す。時にはベンチ入りメンバーからも外す。日頃から選手と密にコミュニケーションを取っているが、ピッチ上で「戦えない」と感じた選手には容赦しない。キャプテンの上田でさえもそれを経験した。途中出場した選手が再び交代を命じられることも、他のチームに比べれば多い。
しかし、それによって浸透しつつあるのは、J2に降格した2013年のジュビロには感じられなかった「チームとしての一体感」だ。監督にお灸を据えられて不貞腐れる選手はいない。むしろその意味を考えて自分を見つめ直し、もう一度アピールしようと努力する。