球道雑記BACK NUMBER
ロッテドラ1平沢大河、二軍で成長中。
強打者の系譜が見える打撃の才能。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/04/08 10:40
4月3日の楽天戦に引き続き、5日のチャレンジリーグ・フューチャーズ戦でも2試合連続となる本塁打を放った。
「ボールが見えている」
守備に比べて一定の評価を得た打撃についても、大村巌二軍打撃コーチは「まだまだ」と見解を示しながら、次のようなコメントを残した。
「スイングはどちらかと言ったら平行。まだ力が入ると下から入っちゃうんですよ。下から入ってしまうと直球の速いボールは打てないし、空振りやファールになる。高卒の1年目はまず、プロのキレのある球に悩みますからね。ただ、(平沢の場合)それに反応して(バットを)振っているからね。何度、それを空振りしても全部振って行けてるところに、平沢が伸びる要素はあります。そこで振れない選手は伸びないですから」
大村はさらに言葉を続ける。
「振っているってことはボールが見えているんです。目は見えて、ボールに反応ができている。ただ、現状では体がイメージと合ってこない。プロ1年生はみんなそうです。ただ、僕が現役のときからコーチ時代も含めて見てきた中で、ファームの1年目からそうやってバットを振っていたのは、松井稼頭央……坂本勇人……松井秀喜……中田翔……野手転向1年目の糸井嘉男といったところですよね。全部、見事な空振りだったけど。だけどね、スイングは『ブゥーン』『ブゥーン』って振れているから、徐々にボールが当たっていくようになるんですよ」
中田、糸井、筒香に被って見える才能。
大村は、北海道日本ハムのコーチ時代に中田翔、糸井嘉男を、横浜DeNAの二軍監督時代に筒香嘉智らを指導し、彼らの覚醒に少なからず影響を与えた人物である。その大村の目から見て、平沢の才能はけっして劣ることない。被ってさえ見えるのだという。平沢の今後の成長に期待を抱かずにいられない。
だからと言って、今すぐ平沢を一軍に推薦しようという考えはない。大村は次のように続ける。
「体ができていないし、成長期にあたって骨幹線がまだあるから背だってまだ伸びるだろうし、筋力もそんなにつけられない。体が決まっていない、体が変わっているうちは技術が変わるからね。背が伸びればストライクゾーンも違いますし、スイング軸も変わってくるから。体が成長中のうちは大事に、やっていかないと。鍛えるところと、また別のメニューをやったりもしながら。バッティングに関しては、今は伸び伸びとやっているので、そこを大事にしています」
長いスパンをかけるとした見解は、守備を指導する佐藤兼伊知コーチと同じ意見だ。