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<先発転向の真意>
藤川球児「過去にはまったく興味がない」 

text by

芦部聡

芦部聡Satoshi Ashibe

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photograph byHideki Sugiyama

posted2016/04/07 06:00

<先発転向の真意>藤川球児「過去にはまったく興味がない」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama
メジャーの舞台を経て野球の原点に立ち返った元守護神が、ローテーションの一角としてふたたび大勝負に出る。今、なぜ先発なのか。開幕直前、本人が思いのたけを語った。

 伝説には縦縞のユニフォームがよく似合う。藤川球児が4年ぶりに阪神タイガースに復帰した。オープン戦では3試合に先発し、“打たせて取る”投球術で2勝0敗。「いい意味で予想外」と賞賛した金本知憲監督は先発ローテーション入りを明言している。

 だが、「現役の最後までやるつもりでやってくる」と言葉を残して渡ったアメリカでは成功したとは言いがたい。

 '12年オフに海外FA権を行使し、シカゴ・カブスに入団。'13年4月1日の開幕戦に登板し、初セーブを挙げている。その矢先のことだった。4月13日には右前腕部の張りで故障者リスト入りし、5月に復帰したものの再発。6月11日にはトミー・ジョン手術を受け、藤川のメジャー1年目は終わった。手術明けの2年目は15試合の登板。'15年シーズンはテキサス・レンジャーズに移籍したが、5月17日にメジャー契約の40人枠から外され、同22日には自由契約となった。

「1カ月以内にメジャーに戻すから残ってほしいとも言われたし、アメリカで野球を続けるという選択肢もありました。でも、これからの自分の人生を考えたときに、ビジネスとしての野球からは距離を置きたかったんですよ。マウンドに上がる以上は、いつケガをしてもいい、最後になってもいいという覚悟を持って投げてきたけど、これからは仕事としてではなく、自分の好きな場所で思い切り腕を振りたいと。

 ケガをして野球に対する考え方が変わった部分はありますね。不本意ながらケガをして立ち止まってみたら、若いときには気づかなかったことが見えてきた。一般の方でも大病をすると人生観が変わることがあると思いますが、それと同じじゃないかな」

 レンジャーズを退団した藤川のもとには、阪神を含む複数のNPB球団からオファーが届いた。阪神復帰が決定的とも報じられたが、大方の予想を裏切る選択をする。出身地の独立リーグ球団、高知ファイティングドッグスに無報酬で入団したのだ。

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