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長友の一発退場は相手FWに狙われた?
インテルの来季CL出場は風前の灯に。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2016/04/05 10:40
退場の判定に、長友は納得できない表情を見せた。インテルにとっても、ただの退場以上の痛手となった。
チャンピオンズリーグの可能性は本当に消えたのか。
敗因は自分たちの内にあることをマンチーニは告白した。
「今夜の試合を左右したのは判定だ。だが、うちが勝ち切れない原因は結局、我々自身に“シニズム”があるか、という問題だよ。それさえあれば、ローマ戦でも他の試合でも、ゴールを決めるべきときに決め、ゲームを終わらせるべきときに終わらせることができたはずなのだ」
カルチョの世界で頻繁に使われる“シニズム”という言葉には、あらゆる状況を冷淡かつ冷徹に判断できる心構え、という意味合いがある。
つまり、今季のインテルは、チームとしての精神的成熟を果たせないまま、シーズン最終盤を迎えてしまったことを指揮官は認めたのだ。
トリノ戦での逆転負けを伝える現地報道には、「Harakiri Inter」、「Addio Champions (チャンピオンズリーグよ、さらば!)」の文字が躍った。
インテルの逆転3位の目は確かに小さくなったが、ローマはまだ2位ナポリとミランとの対戦を残しているし、4位フィオレンティーナも息切れ気味だ。
インテルがなお望みを繋ぎ、ここ一番での勝負弱さを払拭するには、今月16日の33節ナポリ戦が正真正銘最後のチャンスだろう。長友にも汚名返上の機会は必ず来るはずだ。
3月のリーグ中断前、マンチーニは「もう駄目だと誰もが思うような状況でも、最後まで信じ抜くことが大事だ」と繰り返していた。瀬戸際だからこそ、選手たちはこのチームのポテンシャルを信じる力を試されている。