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原口“ありあまる元気”の使い方は?
シリア戦「薄氷の5-0勝利」の意味。
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byShigeki Yamamoto
posted2016/03/30 11:30
ハリルホジッチは、あらゆる場所に原口元気を起用する。「日本代表のアクセント役」として頭一つ抜け出した感がある。
使える、しかし「逃げ切り要員」ではない。
指揮官が言うように、ボランチの1人がスプリントしてゴール前に飛び込み、攻撃に厚みと迫力を加える形は貴重なオプションだ。ただしそれは同点、もしくはビハインドの展開で、どうしてもゴールが欲しい状況で使うべきもの。守備時のバランスを考えると、リードしている状況で使うのは、あまりにもリスクが高い。「守備の修正を全部やってくれた」はずの長谷部が、試合後に「なぜ後半、守備が崩れてしまったのか。今すぐ映像で確認したい」と危機感を露わにしていたのが、何よりの証拠だ。
むしろシリア戦で試すべきは、リードを保ったまま試合を終わらせるための形ではなかったか。そもそも、この日のように相手が前がかりになっていれば、原口が中盤の底から自由にドリブルし、ゴール前に飛び込むスペースはいくらでもある。ところがビハインドの状況で相手に引きこもられれば、そんな空間はない。最終予選でぶつかるアジアの強豪が相手ならば、なおさらだ。シリア戦の32分間では、守りを固めた相手に「ボランチ原口」が通用するのかは、わからないままだった。
原口の“あり余る元気”を、いつ、どこで、どのように使うのが最も効果的か。スタメンか、ジョーカーか、2列目か、ボランチか、サイドバックか。シリア戦で確認できたのは、少なくとも彼が「逃げ切り要員」ではないということだ。