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なぜ岡崎へのスルーパスは少ないか。
日本最強FWの「一度引く」という技。

posted2016/03/25 18:00

 
なぜ岡崎へのスルーパスは少ないか。日本最強FWの「一度引く」という技。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

ボールタッチでDFを2人置き去りにした岡崎慎司の1点目。彼の技術、スタイルの止まらない進化には代表戦のたびに驚かされる。

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西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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Asami Enomoto

 今、世界のサッカーシーンを席巻する“レスター旋風”。その影響は、ここ極東の地でも確かに感じ取ることができた。

 その主役を担ったのは、もちろん岡崎慎司である。現在イングランド・プレミアリーグで首位を走るレスターのレギュラーFW。今季大ブレイクを果たしたエース、ジェイミー・バーディー(現在リーグ戦19得点)の活躍に注目が集まる中、その隣で毎試合常に献身的なプレーで勝利に貢献している。

 24日に行われた、ロシアW杯アジア2次予選・アフガニスタン戦。試合は日本代表が本来の力量差通りの点差(5-0)をつけ、大勝に終わった。

 時間の経過とともにアフガニスタンの選手たちの気力と体力が低下していき、日本はゴールを重ねていった。しかし、序盤から試合の主導権を握っていたにもかかわらず、最初の得点が生まれたのは前半終了間際だった。「前半は相手の守備も集中していて、最後のところまで形を作れなかった」とは、主将の長谷部誠の弁である。

清武がスルーパスを多く出したのは金崎だった。

 先制点が生まれた、43分のシーン。この日4-4-2システムのトップ下に入っていた清武弘嗣に長谷部からボールが渡ると、清武はそのもう一つ前方にいた岡崎に縦パス。すると岡崎は前向きに反転しながら右足でトラップし、さらに同じ右足の素早いボールタッチで相手DFを翻弄。最後は冷静に左足でゴールに流し込んだのだった。

 トップ下の選手から前線のストライカーにパスが送られ、決まった得点。まさに理想形とも言えるゴールだった。

 ところが、試合中の多くの場面で清武が何度も得意のスルーパスを通そうとしたのは、かつて大分で共にプレーしていたFW金崎夢生の方だった。

 この現象にこそ、岡崎のある狙いが隠されていた。

 この試合、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は試合開始から2トップの布陣を初めて試した。ハリルジャパンの基本布陣は、布陣の頂点にストライカーを一人置いた4-3-3。一方、4-4-2などの2トップの布陣は、これまで試合途中に攻撃的に出る際に採用される形だった。

【次ページ】 岡崎「お互いやりたいことをやれたという感じ」

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