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家も車も練習着もない英国居候生活。
畠山健介を支えたのは仲間とWi-Fi。
 

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畠山健介

畠山健介Kensuke Hatakeyama

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photograph byKensuke Hatakeyama

posted2016/03/25 12:00

家も車も練習着もない英国居候生活。畠山健介を支えたのは仲間とWi-Fi。<Number Web> photograph by Kensuke Hatakeyama

家がない畠山を居候させてくれている、サントリーにも所属していたトッド。仲間こそが支えなのだ。

Wi-Fiで音楽と有吉さんのラジオを聞き続けた。

 自分の家もなく、車もなく、土地勘もない、友人もいない、日用品が入った開けられない段ボールが2つ。救いは、トッドの家のWi-Fiと音楽。これらがなかったらと思うとゾッとする。文明の利器のおかげで、何とか正気を保てた。日本からもポケットWi-Fiを持ってきたが、容量制限があるため1日に多くは使えない。さらに不具合が生じ、全く使えなくなってしまった。

 Wi-Fiに頼って、トッドの家で過ごす時間が多くなった。音楽と大好きな有吉(弘行)さんのラジオ番組を録音したものを聞き続けた。夜、夕飯を食べようと独りで近くのパブに入り、食事を注文した。その店はニューカッスルに着いた最初の夜にトッドに連れてきてもらったパブで、ここ以外にも何軒か店はあるが、知らない店よりは知っている店にしようと思い、地元の人で賑わう中4人席に独り座り、無言で夕飯を済ませた。

 風呂に入りたかったが、トッドの家のシャワーは壊れているらしく、全然使えない。「直ったよ」的なことを2階に住むオーナーに言われたが、「また壊れたら……」と思い、家で風呂に入れない日々が続いた。考えすぎる性格も手伝ってか、イングランド生活での現状に嘆く日が続いた。

とても良い経験になった。やっぱり日本が一番だ。

 現状を改善しようと思い、ファルコンズのマネージャーに交渉してもらうよう、日本にいるエージェントに再三催促した。しかし、一向に改善されず。話はサンゴリアスまでつたわり、心配してくれたキヨさん(田中澄憲)やGMの尾関(弘樹)さんが心配して連絡してきてくれた。エージェント、サンゴリアスの双方からファルコンズのマネージャーに対し色々改善を求めるよう交渉してくれたが、何も変わらなかった。むしろ少し揉めたようだ。

 今までは「ラグビー日本代表」という枠で遠征し、ホテルや施設、食事、Wi-Fi、移動手段など自分たちでやらなくても、マネージャーやスタッフが最高の環境を用意してくれていた。でもイングランドに来て、自分で生活するというのは代表の遠征とは全く違う。これがたまたまのレアケースなのか、こういった対応が当たり前なのか分からないが、とても良い経験になった。やっぱり日本が一番だ。

【次ページ】 マイク、田中史朗、ベリ、タネという仲間たち。

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