岩渕健輔、ラグビーW杯と東京五輪のためにBACK NUMBER
日本ラグビーが必ず強くなる理由――。
岩渕GMが語る監督選び、そしてSR。
posted2016/03/24 10:30
text by
岩渕健輔Kensuke Iwabuchi
photograph by
AFLO
こんにちは。ラグビー日本代表GMの岩渕健輔です。
今回は日本代表について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
まず15人制の代表に関しては皆さんもご存知のとおり、エディー・ジョーンズヘッドコーチの後任に、ジェイミー・ジョセフが就任しました。
この人選について、私自身はGMとして強い手応えを感じています。たしかに両者は年齢も異なればキャリアも異なりますが、いい意味での共通点も多いからです。
エディー・ジョーンズは熱血指導で有名になりましたが、ジェイミー・ジョセフもリーダーシップを発揮して引っ張っていくタイプです。また代表チームを率いた経験こそないにせよ、昨シーズンは世界最高峰のリーグであるスーパーラグビーでハイランダーズを見事に優勝に導きました。その意味では彼も、世界での戦い方に精通した指導者だと言えます。そもそもスーパーラグビーのディフェンディングチャンピオンチームからヘッドコーチを招聘するというのは異例のことですし、日本が新たなヘッドコーチに起用したことは、各国メディアで大きく報じられました。
日本でプレーし、日本代表経験もあるトップ指導者。
さらにジェイミー・ジョセフは、エディー・ジョーンズに優るとも劣らぬ知日派としても知られています。具体的に言うならば、過去にはサニックスという日本のトップリーグのチーム(現:宗像サニックスブルース)に所属していただけでなく日本代表としてもプレーし、現役引退後には日本で度々指導も行ってきました。現在、ラグビー界において活動しているトップクラスの指導者の中で、このような経験を持っている人物はほとんど存在しません。
日本のラグビー界は世界の強豪国に比べれば、代表の強化に向けた環境が整備されているとは言い難いのが実情ですし、強化のためには世界を知っているとともに、日本を知っていることが必須条件となります。
その点で、ジェイミー・ジョセフは実に貴重な人材だと言えます。事実、ジェイミー・ジョセフはかつてのエディー・ジョーンズと同じように、私が協会のスタッフと共に作った人選リストの中で、最初から有力候補の一人に挙がっていた人物でした。