畠山健介のHatake's roomBACK NUMBER
家も車も練習着もない英国居候生活。
畠山健介を支えたのは仲間とWi-Fi。
text by
畠山健介Kensuke Hatakeyama
photograph byKensuke Hatakeyama
posted2016/03/25 12:00
家がない畠山を居候させてくれている、サントリーにも所属していたトッド。仲間こそが支えなのだ。
マイク、田中史朗、ベリ、タネという仲間たち。
そんな時、かつてパナソニックワイルドナイツに在籍していたマイク(・デラーニ)が、「家に夕食を食べに来ないか?」と招待してくれた。マイク本人ではなく違う人から聞いた話だが、パナソニックでチームメイトだったフミさん(田中史朗)が「ハタケをサポートしてあげて」と連絡してくれたらしい。
そのことを聞いて、フミさんにも、夕飯に招待してくれたマイクにも感謝した。マイクは毎日のように練習場まで送ってくれた。彼は怪我をしているので、他のメンバーよりクラブハウスへ早めに行き、早めに帰る。不慣れな僕には早めに行って、色々準備するのがむしろ好都合だった。問題は帰る時だったが、僕より早めに帰れるマイクは「帰る時、必要なら送って行くから言ってくれよ」と言ってくれた。
どうしても送れない時は、彼が誰かに言って僕を送ってくれるようにしてくれた。マイクの他にアルゼンチン人フルバックのベリ(ベリサリオ・アグージャ)がWhats AppというSNSを使って、日本語で「君の新しいアルゼンチンの友人より」と連絡をくれた。彼の心遣いは本当に嬉しかった。さらにトンガ人のスクラムハーフ、タネ(ソナタネ・タクルア)もとても優しく、最近はいつも一緒にいる、NECグリーンロケッツで活躍したニリ(・ラトゥ)も信じられないほど僕をサポートしてくれる。他にもたくさんの選手が仲良くしてくれるし、支えてくれる。
僕はこの環境を楽しもうと思った。
現状に対し、嘆いたって、愚痴ったって、改善を待ってたって、何も変わらない。でも自分の感情や気持ちは自分で変えられる。
僕はこの環境を楽しもうと思った。ある日、ずっと開けずにいた段ボールを開けて、トッドの家に色々配置した。近くのスーパーに行き、食材を買い自炊し始めた。わからないことはチームメイトやSNSで知り合った英国在住の日本人の方に聞いたりして、助けてもらった。練習着は自分で口酸っぱく言い続けたせいか、ようやくもらうことが出来た。これで練習に行くのも困らない。相変わらず家も車も用意されないし、トッドの家で風呂に入れない日々が続いているが、元気に生活している。
休みの日は、バスに乗って街に行ったりして気分転換した。トッドの家から街までは非常に近く、ニューカッスルはとても栄えている良い街だった。天候は悪いと聞いていたが、いまのところ晴れる日が多い。気温はめちゃくちゃ寒いが、寒い中で飲むコーヒーが美味かったりもする。ニューカッスル在住の日本人の方に会って、その方の家族と海沿いに行ってランチしたり、日本では引きこもりがちな僕はアクティブに行動した。