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千葉の“総取っ換え”は成功するか。
揃った戦力で「まさか」の脱却を。
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/03/02 18:00
パラグアイから今季加入したアランダが、早くもチームの中心になっている。
引いて蹴る“J2のサッカー”への対応はまだ見えず。
柏との「ちばぎんカップ」終了後、数えるほどしかいない昨季からの“生き残り”である佐藤勇人はこう言っていた。
「プレシーズンで結果を残したことは、もちろんプラスでしかない。生まれ変わったチームにとって、自信を持つことは絶対に必要だから。ただ、ウチはずっと、“J1のサッカー”をしてくれる相手とはまともに戦えるんです。でも大切なのは、自陣に引いて、ロングボールを多用するような“J2のサッカー”をやるチームと戦った時に何ができるかということ。その答えが見つけられなくて、ずっと苦しんできましたから。
その意味では、結果が出ているからといって『いける』と安易に思わないようにしないと。まだ何も始まっていないし、自分たちの相手はJ2のサッカーであることをもう一度確認しないといけない。それができなければ、ズルズルいってしまう。
今季のチームは、何から何まで変わりました。でも、だからこそ例年以上にコミュニケーションが取れているし、雰囲気はいい。それを維持しながら、困難に直面した時に“何か”ができるチームにしたい。ブレない。壊れない。特に今年は、そういう意識を強く持たなければいけない」
「まさかの勝利」ではなく、当たり前に昇格するために。
J1のクラブとJ2のクラブには、たとえば天皇杯の直接対決などでは表れない決定的な差がある。それはサッカーのスタイルに表れたり、プレーの細部に表れたり、チームや個人のメンタリティーに表れたりする。千葉が6年もの長きにわたって「J1昇格」という現実的な目標をクリアできなかった理由は、そのギャップを埋める術を見いだせなかったことにある。そして今季もまた、プレシーズンマッチと徳島との開幕戦を経て、感覚的な“ギャップ”に直面した。
だから、アディショナルタイムの2得点で手にした「まさか」の勝利に浮かれている時間も、安堵している余裕もない。今季のチームはあくまで“即席”であり、浮き彫りになった課題を克服するための労力は決して小さくない。
今季開幕戦には、1万2000を超える人がスタジアムに足を運んだ。ネガティブな「まさか」の連続で鍛えられたのは、手や品をコロコロと替えるクラブではなく、ブレずに声援を送り続けるファンやサポーターのメンタリティーだ。
その期待に応えるために必要なのは、ネガティブな「まさか」はもちろん、ポジティブな「まさか」でもない。「当たり前に勝つチーム」を作ることができなければ歴史は繰り返され、逆にそれができれば、この1年を本当の意味で“新生”の年と位置づけることができるだろう。少なくとも、個々の能力で相手を上回りながらセーフティーなロングボールを蹴っているようでは、当たり前の勝利は見込めない。
1試合1試合の目に見える成長が、即席チームがJ1昇格にたどり着くための条件だ。42試合の道のりは長いが、時間は限られている。