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千葉の“総取っ換え”は成功するか。
揃った戦力で「まさか」の脱却を。 

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細江克弥

細江克弥Katsuya Hosoe

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photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2016/03/02 18:00

千葉の“総取っ換え”は成功するか。揃った戦力で「まさか」の脱却を。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

パラグアイから今季加入したアランダが、早くもチームの中心になっている。

レギュラー争いで頭一つ抜けた5人の新戦力。

 プレシーズンのレギュラー争いで頭一つ抜けたのは、5人の新戦力だ。

 東京ヴェルディから加入したGK佐藤優也は、選手間の話し合いによって新キャプテンに就任。声を張り続けるリーダーシップや4つのクラブを渡り歩いた経験値、定評のある足下の技術で守護神の座を確固たるものとしただけでなく、ピッチ外ではしばしば“オチ”に使われる明るいキャラクターでチームの雰囲気を盛り上げている。

 フィールドプレーヤーの中核は、柏から加入した日本代表経験を持つセンターバックの近藤直也とパラグアイ代表MFアランダに加え、ブラジル人FWエウトン、川崎フロンターレから加入した船山貴之の4人。とりわけ存在感を際立たせているのが、4-4-2でダブルボランチの一角を担うレフティーのアランダである。

 ボランチにおける定位置争いは、アランダに加えて、守備力とロングフィードの富澤清太郎、飛び出しとポジショニングの佐藤勇人、組み立てとバランス感覚の山本真希、の4人によって繰り広げられている。中でも、アランダは他の3人の特徴を広くカバーする文字どおり万能型のタレントだ。

存在が攻守に好影響を与えるアランダのプレー。

 対人に強く、読みは鋭く、寄せは速く、タックルは深い。つなぎは丁寧でキープ力もあり、攻守両面で「いてほしいところにいる」ポジショニングも抜群。インターセプトから縦にクサビを通し、自ら猛ダッシュして決定機に絡む“強弱”の見極めも絶妙で、運動量もある。

 真面目(そう)なキャラクターでサボろうとしない。というより、サボり方をよく知っている、いかにも南米出身のボランチである。彼が生き生きとプレーするとボランチと最終ライン、ボランチと2トップの距離は感覚的にぐっと縮まり、中央にスペースを空ける4-4-2の弱点が消える。

 プレシーズンでその恩恵を得たのが、ポストワークを得意とするエウトンと飛び出しを武器とする船山の2トップだった。

 アランダが最終ラインからボールを受け取り、前を向く。船山がランニングで引っ張り、その動きと逆行するようにしてエウトンが足下で受ける。それによって相手守備陣の意識を縦方向に引き伸ばし、空いたサイドを使って揺さぶりを加える。それができれば、たとえ相手がJ1でもカウンターの脅威を示すことができる。最終ラインからボランチ、あるいは最前線まで、正確かつ絶妙のタイミングで縦パスを通せるDF近藤直也の存在感も際立つ。

【次ページ】 万全で迎えたはずの開幕戦は「全くダメ」。

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