錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
錦織圭の強さは体力測定に出ない!
子供の才能は、どこを見ればいい?
posted2016/03/01 11:00
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Hiromasa Mano
アカプルコ大会で錦織圭は2回戦敗退に終わった。
超スローサーフェスの上でミスを連発し、過去5勝3敗で最近は4連勝中だった相手、サム・クエリーにまさかの敗戦だった。サーフェスに関しては一言で「遅い」と言ってもいろいろあって、そのコートではバウンド時にボールが勢いを失って、極端に言うと“真上に弾むような感じ”だったという。
クエリーのショットは直線的で、バウンドしてから伸びてくる。対戦経験の多い錦織はクエリーのテニスをよく知っているからこそ、予測通りにボールが「来ない」感覚に苦しんだのではないか。
と、まるで近くで見たかのように書いてしまったが、先週はアカプルコでなく京都でチャレンジャー大会を取材していた。この話は、錦織対クエリー戦をBS朝日で解説していたという元デビスカップ代表の本村剛一さんが、週末にイベントで京都に来て“解説”してくれたものだ。
錦織ブーム以降、多くの元ツアープロが解説者に。
現役時代は世界ランク130位台までいった本村さんだが、テレビ解説の仕事など10年くらいやっていなかったという。今や錦織の試合はBSやCSも含めれば見られないものはないほどで、つまりそれだけ多くの解説者が必要になっている。京都でも、解説者として活躍の場を広げる何人もの元ツアープロたちに会った。彼らの顔を頻繁にテレビで顔を見るようになったのは錦織ブーム以降のことで、それまでも今も、ジュニア指導や競技普及などさまざまなかたちでテニス界を支えてきた人たちだ。
本村さんと同じく元デビスカップ代表で、1990年代に松岡修造さんに次ぐ日本のナンバー2として活躍した山本育史さんは、週末に錦織のいないアカプルコ大会をGAORAで解説すると言っていたが、ライフワークの1つとして、プロテニス協会が新しいタレントを発掘するために行なっている事業に熱心に携わっている。
『ニュージェネレーション・スカウトキャラバン』なるもので、「次世代の錦織圭を探す――」との謳い文句をつけたくなるが、毎年1回の開催でもう19回目になるということは、錦織ブームに乗って始めたわけではない。