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一戦たりともスタメンは譲りたくない。
南野拓実が戦う2年連続2冠への道。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2016/02/26 10:40
オーストリアリーグで最強を誇るザルツブルクで定位置を掴んでいる南野だが、移籍当初からさらなるステップアップを公言している。
南野「真ん中のポジションはやりやすい」
2月10日、4-3-3のトップの下のような位置で南野が先発したグラーツ戦では、南野のシュートのこぼれ球をライナーが決め、決勝点となった。今シーズンは、9月のヴォルフスベルガー戦で2トップの一角として先発したものの、それ以外の試合では基本的にはサイドのポジションでプレーしてきた。にもかかわらず、2試合続けてセンターのポジション。南野本人は、グラーツ戦のあとにこう話していた。
「僕がサイドにいたときに、真ん中の人にはダイナミックに動いて欲しいと感じていました。今日は自分が真ん中に入ったので、そういうことをやってあげたらチームとしてプラスになるかなと感じて試合に入りました。ポジションはやりやすかったですね。真ん中から動けたら味方の目にも入りやすいし、前の方でボールに触れる回数も多いです。シュートもしっかり打てましたから」
パスを受ける南野の動きは多彩で、味方にボールが入った瞬間のタイミングで動き出すなど、ダイナミックなプレーが目立っていた。コンディションの良さが一目で伝わってきた。
トップレベルの個人能力と、戦術的不安定。
それでも、ガルシア監督はチームに手を加え続けているのだ。
ひとつには、チームに怪我人が多いという事情もある。
さらに、2016年に入ってからミッドウィークに行なわれた国内カップ戦を含め、最初の3試合をすべてアウェーで戦わないといけないという不利な日程もあった。
戦い方が定まらなくとも、個々の選手の能力はリーグでトップレベルにあるから、ある程度のチャンスは作っている。それでも、やはり不安定さは隠しきれない。
格下リートに不覚をとった試合でも、人数をかけて前がかりになったところで1本のパスから相手フォワードに最終ラインの裏のスペースをつかれて、失点。その後も攻撃を仕掛けながらもゴールを奪えないまま、0-1で敗れている。
終わってみれば2-0で勝利をつかんだアルタッハ戦にしても攻撃は機能せず、セットプレーから先制ゴールが決まっていなければ、引き分け以下の結果に終わったとしても不思議ではなかった。