Jをめぐる冒険BACK NUMBER
G大阪と広島、今年の狙いは「中央」。
サイド攻撃巧者の両クラブが進化中。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAFLO
posted2016/02/22 18:00
広島は交代で入った浅野拓磨、ピーター・ウタカがゴールを決めた。昨年の王者、やはり強い。
「教科書的」なサイドアタックを仕掛けるガンバ。
一方、G大阪のサイド攻撃は、より「教科書的」と言えるかもしれない。
左サイドハーフの宇佐美貴史がカットインしてゴールを狙えば、左サイドバックの藤春がタッチライン際を駆け上がり、左足のクロスを流し込む。右サイドで阿部浩之や藤本淳吾が高い位置でポイントを作り、右サイドバックのオ・ジェソクが追い越していく。右サイドバックに米倉恒貴が入った場合は、インナーラップでゴール前まで飛び出していくこともある。
68分に生まれたゴールも、速攻から右サイドに展開し、阿部のピンポイントクロスに宇佐美が飛び込んだものだった。
広島の1トップ2シャドーは競争が激化中。
だが、外からだけでなく、中からも――。森保監督の、遠藤の言葉からは中央攻略の精度を一層高め、攻撃パターンの増加や変化に取り組もうとしていることが伝わってくる。
広島は昨季のチーム内得点王、ドウグラスが抜けたのが痛手だが、その代わりとして清水エスパルスから獲得したピーター・ウタカが途中出場し、早速コーナーキックからボレーシュートを決めた。
だが、中央攻略という観点で考えたとき、よりキーマンとなるのは2シャドーの1人、茶島かもしれない。
昨年末のクラブワールドカップでチャンスをつかみ、一皮むけた印象のある小柄なテクニシャンは相手と相手の間に入ってパスを引き出すのがうまく、塩谷から何度もくさびのパスを受け、前を向いてからのコンビネーションで相手守備陣の攻略を狙った。
「バルサが好きなので、前を向いたときのクオリティやアイデアは参考にしている」という茶島のドリブルでの仕掛けや飛び出しが、広島の「プラスα」になりそうだ。
「1トップ2シャドーの組み合わせは3セットぐらい、力の拮抗した争いができている」
森保監督は自信を覗かせた。佐藤と浅野拓磨の1トップ争いのみならず、ドウグラスを失った2シャドーも柴崎、茶島、ウタカ、新加入の宮吉拓実の間で激しいポジション争いが繰り広げられている。