Jをめぐる冒険BACK NUMBER
G大阪と広島、今年の狙いは「中央」。
サイド攻撃巧者の両クラブが進化中。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAFLO
posted2016/02/22 18:00
広島は交代で入った浅野拓磨、ピーター・ウタカがゴールを決めた。昨年の王者、やはり強い。
「倉田を使えばうまくいくのはわかりきっている」
G大阪のキーマンは、横浜F・マリノスから今季加入したトップ下のアデミウソンだ。
この日は相手が広島とあってほとんど見せ場を作れなかったが、14日に行なわれた名古屋グランパスとのプレシーズンマッチでは、ピッチの中央でマークを受けながらも素早くターンし、ドリブルで相手を引きつけてからのパスで何度もチャンスを作っていた。
「キープ力があるから預けられるようなら預けていきたいし、そこで時間なりタメが作れれば、また違ったサッカーができると思う」
そう語っていたのは遠藤だ。
ただし、攻守の切り替えや守備の意識は長谷川健太監督が求めるレベルにまだなく、「良い攻撃は良い守備から」という格言と照らし合わせると、アデミウソンの存在が両刃の剣なのはたしか。後半はアデミウソンを右サイドハーフに移し、宇佐美を中央でプレーさせるなど、最適解を模索している最中だ。
「倉田を最初から使って、昨年のメンバーでやれば、うまくいくのは分かりきっている」
長谷川監督は試合後、きっぱりと言った。それでもあえてチームに変化を加えることでレベルアップを、さらなる進化を狙っている。まさに今は、産みの苦しみを味わっている段階だ。
総合力と勝負強さで群を抜く両チームの指揮官が、変化することを恐れず、進化することに飽くなき情熱を抱く。それこそ、広島とG大阪が強者でいられる理由だろう。
果たして広島とG大阪は今季、どのような進化を遂げるのか。リーグ開幕に向けて楽しみは膨らむばかりだ。