錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
錦織圭は「米国を代表する選手」!?
世界選抜の“エース”という立場へ。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiroshi Sato
posted2016/02/17 18:15
小さくガッツポーズを見せた錦織。「当然優勝」という異常なプレッシャー下での4連覇は、紛れもなく偉業である。
世界選抜のエースは錦織圭に!?
1年半後のランキングがどうなっているかはわからないが、現状でチームを作るなら「世界選抜」チームのエースは錦織である。
その錦織とジョン・イズナー(アメリカ)、ミロシュ・ラオニッチ(カナダ)、ケビン・アンダーソン(南アフリカ)、バーナード・トミック(オーストラリア)らがヨーロッパ以外の少数派の中の代表的メンバーだが、こうしたバラエティーに富んだ面々で今や我が物顔のヨーロッパ勢に挑むというイベントには、なんだか好奇心をそそられる。しかもその計画にフェデラーが絡んでいるのだ。きっと選手たちは、負担が増えるからといってこれを簡単に無視できない。
フェデラーは基本的に過密ツアーに異を唱え続けてきた人で、そういう主張を持った人がツアーの真っ最中に別のイベントを開催するというアイデアに関わっているなら、何か企みがあるに違いない――もっと壮大なツアー改革計画でもあるのではないか、とまで考えてしまう。
目まぐるしく変容するイマドキのテニス業界。
テニスのような巨大な市場を持つスポーツには、さまざまなビジネスが絡み、地域間の勢力争いや、マネージメント会社同士の争いもあるだけに、今後どういう変化を遂げていくかなど、我々の乏しい想像力ではとても追いつかない。昨年は錦織も参加したオフ中のイベント、『IPTL(インターナショナル・プレミア・テニス・リーグ)』なども新しい動きの中の一つといえるだろう。日本を拠点としたチームが今年も存続するなら、その目玉はやはり錦織でなくてはならない。
背負うものは大きくなるばかり。しかし責任の大きさこそスターの証、多くの人々に喜びや力を与えることのできる稀有な存在の証でもある。