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誰も引っ張らないのに、機能する。
久保と南野の発言に見るU-23の妙。 

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了戒美子

了戒美子Yoshiko Ryokai

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2016/02/05 07:00

誰も引っ張らないのに、機能する。久保と南野の発言に見るU-23の妙。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

イラク戦で久保裕也は前半26分、鈴木武蔵からのクロスに合わせ、技ありの先制ゴールを決めた。

重なって見える2人の歩み。

 2人の歩みは重なって見えるところがある。

 '93年生まれの久保は'12年11月にUAEで行われたAFC U-19選手権で背番号9を背負いエースとして期待されたが、グループリーグから準々決勝まで計4試合で無得点。チームも世界切符を逃した。久保には当時から海外移籍の希望があり冬の移籍も濃厚とされていたが、欧州のスケジュールにあわせ'13年夏にスイスのヤングボーイズへと移籍した。

 一方、'95年1月生まれの南野は'14年10月、ミャンマーで行われた同大会に最年長として出場。4試合4得点とチームを引っ張った。準々決勝の北朝鮮戦では、PKを南野が外して敗れたことがクローズアップされがちだが、83分に得点を決め、延長とPK戦に持ち込んだのもまた彼だ。南野はその直後の2月、オーストリアのザルツブルクに移籍した。

 2人ともアジアでの敗退から時をおかずに海外移籍を果たしているが、特にその経験をばねにといったニュアンスも感じられない。当時の代表チームに対してはあっさりとしたもので、当時の経験が今回のU-23チームで活きるかと聞かれた久保は「また別のチームなので特にはない」と割り切り、南野も「別に俺が引っ張るという感じはなかったし」といった調子だ。

どうしても感じてしまう多少の物足りなさ。

 今大会で、久保は唯一全6試合に出場し3得点を挙げたが、絶対的なエースと言い切るには物足りないし、南野は無得点に終わった。それでも久保は「全員が自分がチームの軸という気持ちでやってたと思う。僕もそう。それが良かったと思う」と言い、南野も「チームとしての力を示せた」と、共にチーム力に対する手応えを口にした。

 それでも、両者が口にする課題は個人に関することだ。久保は「もうちょっとしかけの部分で、個人で打開できる場面が増えたら、得点チャンスも増えるかなと思います。個人の能力で打開する能力を磨くのはクラブでもどこででも出来るかなと」。南野も「ゴールが欲しかった。ゴールを取れる選手になってまた選ばれたい」と本大会を見据える。

 五輪切符獲得という大きな目標に立ち向かうには、現状の彼らの力では、チームとして戦うしかなかったのかもしれない。もちろん、結果が出たのだからそれで良い。だが、どうしても多少の物足りなさを感じてしまうのは、見当違いなのだろうか。久保と南野という、20歳そこそこで欧州に活躍と成長の場を見出した彼らには、どうしても11分の1以上のプレーを期待してしまうのだ。

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