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2016年は「攻撃的2番打者」元年に?
梶谷隆幸は第2の成功例になれるか。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byNanae Suzuki

posted2016/01/08 10:50

2016年は「攻撃的2番打者」元年に?梶谷隆幸は第2の成功例になれるか。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

2015年、主に3番を務めた梶谷は打率.275、13本塁打、66打点、28盗塁の記録を残した。2016年はラミレス新監督の期待に応えられるか。

ラミレス「早い回でバントは使いたくない」

 その中で、メジャー的な攻撃的2番打者で成功したのが昨年のヤクルトだった。

 送りバントをしない2番打者として脚光を浴びた川端慎吾内野手の存在は、ヤクルト打線の破壊力の起点の一つとなった。

 川端は2番に入った70試合で、送りバントはわずかに2回だけ。この数字からも、いかに川端が攻撃的だったかが分かるし、その成功が日本の野球に一つの潮流を生むきっかけになるのに十分なインパクトがあった。

 そうした流れの中で、今季新たに攻撃的2番論をぶち上げているのが、DeNAのアレックス・ラミレス監督である。

「ベイスターズの魅力は積極性。早い回でバントを使うようなことはしたくない」

 そこでラミレス監督が2番打者に指名したのが、チームNo.1の5ツール選手である梶谷隆幸外野手だったわけだ。

送りバントが持つ積極・消極両面の意味とは。

「梶谷がキーになる。3割、20本、100打点、30盗塁……。梶谷が結果を残せば筒香(嘉智外野手)も100打点は簡単にいってもらえる」

 1月4日の球団の仕事始めに出席したラミレス監督は、改めて今季のキーマンにこの左打者を指名した。

 梶谷のプレーヤーとしての能力の高さは、誰もが認めるところである。

 阪神・金本知憲監督が現役時代に肉体を作った広島のトレーニングクラブ「アスリート」のメンバーで、本塁打を量産するようなタイプではないが二塁打、三塁打を放って塁を駆け回るパワーもありスピードもある。そこが攻撃的2番として魅力があるところだ。

「送りバントの選択には、積極的な選択と消極的な選択と2つの意味がある」

 こう語っていたのは、中日や阪神で名参謀として鳴らした一枝修平さんだった。

「一つは走者を得点圏に送って相手バッテリーにプレッシャーをかけるという積極的な狙い。もう一つは併殺を避けるという消極的な狙いで、基本的には後者に重きが置かれるケースが多い」

【次ページ】 併殺を避ける、という優先事項。

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梶谷隆幸
横浜DeNAベイスターズ

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