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日本人選手はアジアの強豪へ移籍せよ。
バルサやバイエルンと戦うもう1つの道。
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byAFLO
posted2015/12/25 16:05
CWC準決勝でスアレスとマッチアップする金英権。韓国代表としてもユース世代から活躍し続けている25歳。
アジア王者のクラブには韓国人選手がいる。
2010年以降、チャンピオンズリーグ本選でプレーした韓国人選手は日本よりもはるかに少ない3名のみ。かの朴智星(パク・チソン/マンチェスター・ユナイテッド)以降は、2011-12シーズンの朴柱昊(パク・チュホ/当時バーゼル)、2013-14、2014-15シーズンの孫興民(ソン・フンミン/当時レバークーゼン)がいる程度だ。
一方で、クラブワールドカップとの縁は保っている。'10年、ACL優勝の城南一和(現・城南FC)がインテル(長友佑都移籍の1年前)と対戦。'12年は蔚山現代が同大会に出場。この時は大会初戦で敗れたため、欧州代表との対戦は叶わなかったものの、'11年、'13年、'15年はこういった形式で自国選手がクラブワールドカップに出場した。
アジアの代表的クラブチームに、韓国人選手が在籍したのだ。
'11年のアル・サッド(カタール)では、CB李正秀(イ・ジョンス)が主力として出場。日本の地でバルセロナと対戦した。'13年と'15年大会出場の広州恒大には同じくCBに金英権(キム・ヨングォン)が。金は今年の大会の他、モロッコで行われた'13年大会でバイエルン・ミュンヘンと対戦した。
このうち、'11年の李正秀の言葉が、今大会もずっと頭の中に引っかかっていた。
バルサ対策のはずのロングパスでの攻撃が……。
当時のバルセロナは、グアルディオラが監督を務め、DFラインにはプジョル、MFにセスク・ファブレガス、前線にはビジャ(大会中に負傷)がいた。決勝でネイマールのいたサントスを4-0の大差で下している。
このチームに準決勝で対峙したアル・サッドは、強靭な肉体を持つFWのママドゥ・ニアン(セネガル)にロングパスを当て、そこから攻撃を展開するサッカーでアジアを制していた。
しかし、12月15日にバルセロナと対戦したアル・サッドは、まったく自分たちの持ち味を出せていなかった。近年度々論じられる「バルサ対策」の1つの方法であり、自チームの持ち味でもあったはずの「プレス網を飛び越してのロングパス」という戦い方を使えなかったのだ。
試合翌日、李に聞いた。
バルサ戦のアル・サッドは無味無臭のチームに見えた。なんで自分たちのやり方をやらなかったのか? と。