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世界で通用する広島の武器は何か?
広州恒大とは対照的だった3位決定戦。

posted2015/12/21 11:40

 
世界で通用する広島の武器は何か?広州恒大とは対照的だった3位決定戦。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

そのスプリント力で決定機を生み出した21歳の浅野拓磨。J優勝に引き続きクラブワールドカップ3位にも貢献した。

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松本宣昭

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto

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 例えば「日本人は勤勉だ」と、よく言われる。「日本人は謙虚だ」とも、よく言われる。

 でも、普段から日本人同士でコミュニケーションを取っていても、なかなか自分のことを「勤勉で謙虚だ」とは実感できない。周りも勤勉で謙虚だから。「日本人の長所」とは、異文化に触れて、自己分析することでようやく気付くものだ。

 では、外国勢と対峙したときに、サンフレッチェ広島にとって武器となるものは何か。クラブW杯は、彼らにとって絶好の“自己分析”の場になったはずだ。世界にも通用する武器があったからこそ、オセアニア王者のオークランド、アフリカ王者のマゼンベ、そしてアジア王者の広州恒大を破って“世界3位”になることができた。

 だから、広州恒大との3位決定戦を2-1で制した後の取材エリアで、複数の選手に聞いてみた。世界の舞台で通用した広島の武器とは何ですか、と。

 来日7年目、欧州の舞台も広島のサッカーも知り尽くすミキッチが挙げたのは、やはり組織としての勤勉性だった。

どんな状況でも変わらない“広島流”。

「選手個人の力というよりも、オーガナイズ(組織化)が、僕らの武器だと思う。自分たちのコンセプトを持って、日々のハードなトレーニングでそれを磨き上げていく。チームとして戦うことこそが強みとなって、3位という結果を手に入れることができた」

 たしかに今大会の広島は、過密日程の影響でメンバーが入れ替わっても、試合がどんな展開になっても、ブレることなく広島流のサッカーを貫き通した。守備では最終ラインの5人と中盤の4人でブロックを築き、相手の攻撃を我慢強くはね返す。ボールを奪えば1トップと2シャドー、さらには両アウトサイドが流動的に動いてサイドを突破する。

 広州恒大戦では序盤にCKから先制点を奪われたものの、その後は素早い攻守の切り替えによって粘り強くこぼれ球を拾い、ペースを握り返した。ピッチ上の誰もが“勤勉に”走り続ける姿は、時間の経過とともに全体の陣形が間延びしていく広州恒大とは対照的だった。

 では、広島が世界に誇る武器が「勤勉な組織」だけかと言えば、そうではない。彼らは組織の中で「個」の能力を活かす術を心得ていた。例えば70分に茶島雄介のCKを押し込んだドウグラスは、このゴールシーンでのポジショニングについてこう語っている。

【次ページ】 茶島に合わせたドウグラスの洞察力。

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