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最も主将らしくないと言われた男。
イニエスタが体現する“バルサらしさ”。 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

PROFILE

photograph byMutsu Kawamori

posted2015/12/16 11:00

最も主将らしくないと言われた男。イニエスタが体現する“バルサらしさ”。<Number Web> photograph by Mutsu Kawamori

主将として初めて臨んだクラシコでは今季初ゴールを決めた。クラブワールドカップでの躍動にも期待だ。

「根本にはバルサの伝統」

「根本にはバルサの伝統であり、スタイルが今も根付いてる。サッカーが縦に速くなったから、バルサらしさを捨てたわけじゃない」

 バルサらしさは、4年前のクラブワールドカップ決勝で、ひとつの完成形となってあらわれた。

 ミッドフィルダーだらけの3-7-0システムと中盤の圧倒的支配の記憶は、今もイニエスタの頭に強烈な記憶として残っている。

 そして今回、もしバルサが優勝すれば、カップを掲げるのは、かつて最も主将らしくない男とされたイニエスタだ。

4年前、銀座線での「奇跡の1枚」。

 取材が終わり、撮影用のユニフォームを脱いだ。カメラマンが渡した、クラシコでのゴールの一枚を嬉しそうに手に取る。

 ひとつ聞きたいことがあった。

 前回のクラブワールドカップ時、奇跡の1枚といわれた写真についてだ。イニエスタが地下鉄銀座線の車内で撮った写真は、SNSを介し瞬く間に日本列島を駆け抜け、母国スペインでも話題となった。

 サラリーマンと中吊り広告、東京の日常にあまりにも自然に溶け込む27歳のイニエスタがそこにいた。

 彼は微笑みながら思い出す。

「あの写真、かなり話題になってね。日本の風景を見れたのは、とてもいい思い出になった。今回もあまり時間はないけど、チャンスがあればまた乗ろうと」

 4年後、銀座線のイニエスタ。

 優勝カップを掲げる姿と同じくらい楽しみにしている。

 シャビなき今季、バルサのDNAを受け継ぐのはイニエスタしかいない。2000年代初頭の「バルサは勝てない」と言われた時代から、現在にいたる黄金期を知る“寡黙なファンタジスタ”は、メッシ、スアレス、ネイマールという個性の強い最強の3トップを擁する現在のチームをどう見ているのか?
 Number臨時増刊号「<クラブW杯観戦ガイド>バルセロナ最強の全貌。」に掲載されたアンドレス・イニエスタの独占インタビューでは、普段は寡黙な男が、主将として“バルサらしさとは何か”を饒舌に語っている。
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