Jをめぐる冒険BACK NUMBER
浦和と川崎の“ミラーマッチ”分析。
似てるのは形だけ、似てないものは?
posted2015/11/11 10:30
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
鏡のようで、実は違う――。11月7日のJ1セカンドステージ16節、1-1のドローに終わった浦和レッズ対川崎フロンターレ戦は、そんなゲームだった。
同じシステムのチーム同士の対戦を「ミラーゲーム」と呼ぶことがあるが、3-4-3のシステムを採用する浦和とのゲームにおいて、対戦相手が“あえて”ミラーゲームに持ち込むことがある。
ベガルタ仙台、サガン鳥栖、FC東京といった普段は4バックをベースに戦うチームまでもがわざわざ3-4-3に変更し(FC東京は試合途中で変更)、浦和と対峙する。
それは、なぜか――。浦和と同じシステムにすることで、誰が誰をマークするのか、責任の所在をはっきりさせるためだ。
浦和のシステムには対策も進んでいる。
改めて説明しておくと、もともと浦和のシステム・戦術には4バックのチームを攻略するための工夫がなされている。
攻撃時にはウイングバックがウイングの位置まで上がって5トップのような形となり、5人が4バックの隙間にポジションを取ってマークのズレが生じやすい状況を作る。
これだけでも相手DFにとっては厄介なのに、ひとりが裏を狙えば、ひとりが中盤に下がるというように“段差”を作ってボールが回りやすくする。こうして、相手の守備ブロックをいとも簡単に攻略していく。
もっとも、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督がサンフレッチェ広島を率いていた時代から採用するシステム・戦術だけあって、各チームも対策に余念がない。その結果、浦和戦になると、ミラーゲームに持ち込むチームが増えてきた。
川崎もかつて、浦和戦で3バックに変更して戦ったことがある(風間八宏監督に言わせれば、相手に合わせたわけではなく、自分たちの都合ということだったが)。もっとも、最近は継続して3-4-3で戦っているため、この日は浦和に合わせたわけでないものの、ピッチ上には期せずしてセンターラインを挟んで3-4-3の対称的な絵が描かれた。