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サッカーU-22が弱いのは当たり前?
世界の五輪世代も「こんなもの」だ。
text by
浅田真樹Masaki Asada
photograph byAFLO
posted2015/10/19 10:30
ロンドン五輪優勝のメキシコは、北米でも別格。彼らと真剣勝負をする機会を得る意味でも、五輪出場はマストだ。
ロンドンで対戦した2カ国がリオ出場決定。
幸いにして北中米は、五輪本大会の出場資格に合わせ、今年時点で22歳以下の代表チームが予選に参加。しかも何かの大会が五輪予選を兼ねるのではなく、五輪予選という名の大会が開催される珍しい地域だ。
10月1日から13日までアメリカ各地で行われた北中米の最終予選には、8カ国が出場。4カ国ずつ2組に分かれてグループリーグを行い、各組上位2か国が準決勝に進出し、準決勝の勝者2カ国がリオ五輪出場権を獲得した。また、準決勝の敗者2カ国により3位決定戦が行われ、その勝者が南米予選2位のコロンビアとのホーム・アンド・アウェーによるプレーオフに進むという方式である。
結果から言えば、優勝したメキシコと準優勝のホンジュラスが出場権を獲得し、3位のアメリカがプレーオフに進出した。
メキシコとホンジュラスと言えば、いずれも3年前のロンドン五輪で日本が対戦した相手である(準決勝1-3メキシコ、グループリーグ第3戦0-0ホンジュラス)。それを考えれば、絶好の比較対象が勝ち上がってくれたと言える。
ロンドン王者のメキシコは、やはり別格。
まずはロンドン五輪金メダルのメキシコだが、今回の予選でも実力的に頭ひとつ抜けていた。ホンジュラスとの決勝を2-0で制し、優勝を果たしたのも極めて順当な結果だった。
メキシコが特徴的だったのは、各ポジションに能力の高い選手を配したうえで、チームとしての機能性も高かったという点だ。3位決定戦で敗れたカナダも含め、準決勝に進出した4カ国はいずれもパスをつないで攻撃を組み立てようとするポゼッション型のチームだったが、センターバックがしっかりとビルドアップの起点として機能していたのはメキシコだけだった。
加えて、ボールを失った後の切り替えも速く、すぐに2人がかりで奪い返しに行く態勢を整えることができている。準決勝ではカナダが、決勝ではホンジュラスが、いずれも守備重視の戦術でうまく守ってはいたが、メキシコの攻撃をどうにか抑えることはできても得点できる可能性は高くなかった。
2トップの得点能力という点で若干の物足りなさはあったが、メキシコはリオ五輪本大会でも間違いなく優勝候補のひとつになる。これを見せられてしまうと、現時点の日本は、メダル獲得のレベルには程遠いと言わざるをえない。ロンドン五輪ではメダルがかかった準決勝で日本はメキシコに完敗を喫したが、力関係は似たようなものだろう。攻守両面において、日本はあまりに物足りない。