海外サッカーPRESSBACK NUMBER
サッカーU-22が弱いのは当たり前?
世界の五輪世代も「こんなもの」だ。
posted2015/10/19 10:30
text by
浅田真樹Masaki Asada
photograph by
AFLO
来年1月にカタール・ドーハで開かれるアジアU-23選手権(兼リオデジャネイロ五輪最終予選)に向けて強化が進められているU-22日本代表、いわゆる「五輪代表」の評判がこのところ芳しくない。
月に一度の活動日程を確保するため、最近は国内合宿+Jクラブとの試合が行われているのだが、その試合結果、内容がともにパッとしないのだ。
9月に行われたJ3町田ゼルビアとの試合(J3の公式戦に五輪代表のメンバーがJリーグU-22選抜として出場した)では、0-1で敗戦。J3のクラブに敗れるという情けない結果もさることながら、チームとしてまるで機能していない試合内容は、いやでも不安を煽るものとなった。
もともと五輪代表世代については、これまでアジアの大会で実績を残せておらず、リオ五輪出場を不安視する声がなかったわけではない。だが、町田戦をきっかけにそれがさらに大きくなったのは間違いない。
とはいえ、過去の五輪代表を振り返ってみても、五輪前年の段階はたいてい不安を抱えていた。北京五輪がチームとして機能するようになったのは、年が明けて五輪開催年を迎えてからだったし、ロンドン五輪当時にしても予選では危うい試合を続けた末に、五輪本番では戦い方そのものを守備重視へと大きく方向転換することになった。
決してリオ世代を擁護するわけではないが、予選段階での五輪代表というのは「こんなもの」なのかもしれない。
五輪世代のチームがある国は実は少数派。
五輪代表を評価するにあたって難しいのは、現時点での世界基準が目に見えにくいことだ。というのも、五輪代表を強化するという発想自体、世界的に見て当たり前のものではないからである。
実際、ヨーロッパでは23歳以下の大会(ヨーロッパU-21選手権)を、南米では20歳以下の大会(南米U-20選手権)を、五輪予選として兼ねている。これらのサッカー先進地域に関して言えば、五輪本大会に向けたチームを2年も前から立ち上げ、そのチームで予選を戦うわけではないのだ。
これでは「リオではメダルを狙う」(手倉森誠監督)という目標を掲げる日本の五輪代表が、果たしてそれにふさわしい位置にいるのかどうか、判断するのは難しい。
そこで日本の現在地を確認するべく、比較対象として現地取材してきたのがCONCACAF、つまり北中米カリブ海地域のリオ五輪最終予選である。