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湘南が育てた「1億円の日本代表」。
大倉社長が語るクラブ規模と育成。 

text by

並木裕太

並木裕太Yuta Namiki

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2015/09/30 10:50

湘南が育てた「1億円の日本代表」。大倉社長が語るクラブ規模と育成。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

A代表にも「定着」したといえる遠藤航。武器は万能性、というなんとも老練な選手だ。

才能に巡り会える可能性はどのクラブも平等。

 大倉さんがセレッソの強化に関わった2000年代初めは、柿谷曜一朗や山口蛍、扇原貴宏といった選手たちが中学生のころでした。後に日本代表に選出されることになる彼らをどう育てていくべきか、育成スタッフたちと夜な夜な議論したといいます。

 近隣に住む子どもの人口や他のスポーツの人気、他クラブとの競合状況などに影響される部分はありますが、何万人に1人と呼ばれるような才能に巡り会える可能性はどのクラブにも平等にあると言えます。大倉さんの話から感じたのは、クラブ全体がそうした才能を見抜く目を持つこと、そしてマジックではなく、普通のことをやり続けることの重要性です。

 柿谷や山口、扇原といった逸材たちの育成に携わった大倉さんが移ってきたことは、湘南にとって幸運だったと言えるかもしれません。その経験を次世代の育成チームに継承するチャンスも得られました。ただしそれは、あくまで「幸運」や「チャンス」であって「仕組み」ではありません。

クラブの仕組みもワールドクラスに。

 知識や経験の蓄積を継承していく仕組みをつくることは、日本のプロスポーツ界全体において求められていることだと思います。それは育成に限らず、イベントのつくり方、選手の売り出し方、プロモーションの打ち方、チケットやスポンサーシップの価値向上の仕方など、プロスポーツチームの営みすべてにわたって言えることでしょう。

 これまでは、個人のノウハウにとどまっていたり、継承されるにしても個人的な師弟関係やクラブ内の域を出ないものだったように感じます。逆の見方をすれば、グローバルスタンダードや世界トップクラスのノウハウを積極的に取り入れ、蓄積していくような仕組みもあってしかるべきです。

 ワールドクラスに肩を並べようとしている選手たちは多く出始めています。これから必要になってくるのは、彼らを支えるクラブの営みがワールドクラス化することではないでしょうか。この仕組みのつくり方については、次回、考察してみたいと思います。

(構成:日比野恭三)

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