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オシムが称賛する大宮の“雰囲気”。
「だが、同時に彼らの弱点でもある」
text by
イビチャ・オシムIvica Osim
photograph bySports Graphic Number
posted2015/10/01 16:30
「イビチャ・オシムの『オシム問答』」、配信は隔週金曜日の予定です。
メルマガ「イビチャ・オシムの『オシム問答』」。
最新号の中身をちょっとだけ……特別にご紹介いたします!
▼Lesson.113 目次
【1】〈今回の「オシム問答」〉
「シリアに対して、敬意を抱きつつも全力を出して勝ってほしい」
【2】〈オシムとの対話〉
「代表の中心選手の負担を軽減できる若い選手の発見は急務だ」
【3】〈ボラ・ミルティノビッチ、1993年の日本とアメリカを語る〉第2回
「日本人は速い。もっと速くすればレベルが上がる」
【4】〈「オシムの教え」〉
「人生における成功は義務ではない」
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【2】〈オシムとの対話〉
「代表の中心選手の負担を軽減できる若い選手の発見は急務だ」
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オシム:ハロー。
――サリュ。元気ですか?
オシム:ああ、君はどうだ?
――ええ、悪くないです。
オシム:いつもそうだな。それならいい。
――あなたはどうなんですか?
オシム:ああ……、まあまあといったところだ。少し調子がいいからよく歩いている。そんなところだ。
――それはいいですね。
オシム:悪くないだろう。テレビで試合をたくさん放送しているから、ずっとそれだけを見ているよ。
――昨日はバイエルンが勝ちましたし……。
オシム:ヨーロッパのいたるところで試合が行なわれている。今はマルセイユ対アンジェ(※フランス・リーグアン)を見ている。ボスニアの選手はどこにもいるからな。彼らがどういう状態にあるのか。どんなプレーをしているのかをチェックできる。どこにいても追うことができる。
それで日本はどうだ?
心地よいスタジアムと状態の良いピッチ。
――昨日・今日とJリーグがあって、昨日は浦和が鹿島にアウェーで勝ちました。でもジェフは今日また負けてしまい……。
オシム:また負けたのか。相手はどこだ?
――大宮です。大宮がずっとJ2の1位です。
オシム:ローカルダービーか(柏と勘違い)。
――いや、ダービーではありませんが。
オシム:たしかに。しかしまあ首都圏のダービーのようなものだ。
――大宮は圧倒的な強さで首位に立っていますから、来季の昇格はほぼ間違いありません。
オシム:それは悪くない。大宮はチームを巡る雰囲気が素晴らしい。小さくて心地よいスタジアムと状態の良いピッチ。私がいた時代から彼らは悪くなかった。ずっと存在感を示し続けてきた。あのスタジアムに行くのは、私も楽しみだった。今は以前のような緊張感はないのかも知れないが。ジェフ、大宮……。ともに東京の郊外で、どこもプレーに集中できるクラブでありスタジアムだった。
だが、対戦相手をそういう気持ちにさせるのは、同時に彼らの弱点でもあった。スタジアムやピッチが素晴らしいのに、チームは相手を圧するまでに強くはない(笑)。相手にとってはプレーがしやすく、むしろホームよりもやりやすいぐらいだった。
――そうかもしれません(笑)。Jリーグの特徴と言ってしまえばそれまでですが。