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野手は高校卒が優位、投手は真逆。
プレミア12代表に見る選手の育ち方。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/09/23 10:30

野手は高校卒が優位、投手は真逆。プレミア12代表に見る選手の育ち方。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

プレミア12に挑む侍JAPANの野手陣は、発足以来最高レベルの豪華布陣と言えるだろう。

野手は高校卒上位、投手は大学&社会人優位。

 高校卒18人をさらに見るとドラフト1、2位の上位指名選手が10人と多数派を形成した。前出のスカウト氏の「これはと思った高校生野手がいたら1、2位で獲る」がここでも重要な意味を持ってくる。

 ちなみにリーグでの打撃成績の10傑の顔ぶれを見ると、やはり高校卒が多い。パ・リーグは3位近藤健介(日本ハム)、6位中村晃(ソフトバンク)、9位田中賢介(日本ハム)、10位内川聖一(ソフトバンク)の4人が高校卒で大学&社会人出身と拮抗しているが、セ・リーグは1位川端慎吾(ヤクルト)、2位山田哲人(ヤクルト)、3位筒香嘉智(DeNA)、6位平田良介(中日)、7位坂本勇人(巨人)と上位を席巻している。

 パも、打撃20位まで目を広げれば11位森友哉(西武)、12位中村剛也(西武)、14位西川遥輝(日本ハム)、15位中島卓也(日本ハム)、16位浅村栄斗(西武)、17位栗山巧(西武)、19位松井稼頭央(楽天)、20位中田翔(日本ハム)と上位球団に個性的な選手が名を連ねているので、高校卒上位と言っていい。

 投手はどうだろう。代表候補20人中、高校卒は7人、大学&社会人出身は13人と野手とまったく異なる構成になった。これは日本ハムに占める投手と野手の割合とそっくり同じである。またドラフト1、2位の上位指名は16人、3位以下は4人と、これは野手と同様に上位指名の割合が高くなった。

 代表チームと個々の球団を同じに考えるわけにはいかないが、日本代表候補になるような選手はドラフト上位が多く、投手は大学生、社会人などの即戦力タイプ、野手は高校生が大きく育つ可能性があると言っていいかもしれない。

セパの比率は、36%対64%。

 最後に付け加えたいのが、日本代表のパ・リーグとセ・リーグの人数比率だ。プレミア12の代表候補45人中、パの29人に対してセは16人しかいなかった。過去11年間の交流戦の結果(パの10勝1敗)や、過去10年間の日本シリーズの結果(パの7勝3敗)を見れば当然だが、「64%対36%」という数字を突きつけられるとやはり驚く。

 上位に君臨していた巨人、阪神、中日から選出されたのが6人、低迷することが多かった広島、ヤクルト、DeNAから選出されたのが10人。それに対してパ・リーグは、ソフトバンク7人、西武8人と、過去20年近く上位に君臨したチームから数多く選出されている。

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