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プロ野球黄金時代、今に通じる愛ある小言。~『昭和プロ野球徹底観戦記』を読む~
text by
馬立勝Masaru Madate
photograph bySports Graphic Number
posted2015/09/22 08:00
『昭和プロ野球徹底観戦記』山口瞳著 河出書房新社(現在品切・重版未定)
山口瞳こと江分利満氏。毎年、成人の日の新聞に載るウイスキーの広告で新成人に社会人作法を教えるのが常だった。豊かな経験と知識を土台に筋が通った小言、少し煙たいが人に嫌われないのは誠実な人柄ゆえ。そんな作家の昭和39年(1964年)から昭和52年(1977年)あたりまでのプロ野球評論集。この期間は巨人V9時代だが、プロ野球の黄金時代でもあった。半世紀も前のキャンプ報告やシーズン予想、日本シリーズ観戦記、選手論、監督論が“懐かしのメロディー”で終わらず、今の野球をも撃つのは、昭和11年に沢村栄治の投球を観て以来の見巧者の姿勢による。プロ野球は勝敗だけでなく“野球技”を見せるもの、との立ち位置だ。