名門校以外から一流が出る確率は？

　たとえば、ソフトバンクの野手で甲子園経験のない高校出身者は次の10人だ。

　細山田武史（鹿児島城西）、高谷裕亮（小山北桜）、李杜軒（岡山共生）、塚田正義（古河一）、福田秀平（多摩大聖ヶ丘）、釜元豪（西陵）、堀内汰門（山村国際）、張本優大（菊華）、曽根海成（京都国際）、金子将太（大間々）

　それに対して、投手は次の12人だ。

　山田大樹（つくば秀英）、森唯斗（海部）、日高亮（日本文理大付）、千賀滉大（蒲郡）、帆足和幸（三井）、伊藤祐介（聖和学園）、五十嵐亮太（敬愛学園）、坂田将人（祐誠）、吉本祥二（足立学園）、斎藤誠哉（磐田東）、伊藤大智郎（誉）、石川柊太（総合工科）

　数は拮抗しているが、顔ぶれがだいぶ違う。野手で目立った一軍経験があるのは高谷、福田の2人だけ。それに対し投手は、山田、森、日高、千賀、帆足、五十嵐の6人。これはソフトバンクに限らず、各球団に見られる特徴である。

投手は大器晩成が許されるが……。

　投手は大器晩成が許されるポジションだから、下位指名でも好素質の無名校出身選手を獲れるが、野手は打つこと以外でも守備や走塁など覚えることが多く、遅くとも高校の段階で一定のレベルに達していなければならない。つまり早熟であることを求められる（だから強豪校出身が多い）。

　前出のスカウトが「これはと思った高校生野手がいたら上位で獲る」と言ったのは、「上位でなければいい野手は獲れない」という意味だろう。

　そして最近、国際大会、プレミア12の代表候補（1次登録選手）にも高校卒野手が多数選出された。最後に名前を紹介するが、捕手5人のうち高校卒は4人、内野手11人のうち9人は高校卒、外野手9人のうち5人は高校卒、という内訳である。野手全体では高校卒18人：大学＆社会人出身7人となった。

［註］プレミア12……WBSC（世界野球ソフトボール連盟）主催の12U、15U、18U、21U、トップチームの大会や、WBSCの認定を受けた国際試合の結果を成績に応じてポイント化し、その上位12カ国によって争われる世界No.1決定戦で、今回が記念すべき第1回大会。
ポイントの上位12カ国は、1位日本、2位アメリカ、3位キューバ、4位チャイニーズ・タイペイ、5位オランダ、6位ドミニカ共和国、7位カナダ、8位韓国、9位プエルトリコ、10位ベネズエラ、11位イタリア、12位メキシコの順。出場できない13位以下にはオリンピックやWBC（ワールド・ベースボール・クラシック）で実績のあるパナマ、オーストラリア、ブラジルが続いている。

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