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男子バレー代表、まさかの会場満員!?
若いエースと爽快な試合が面白い。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKYODO
posted2015/09/16 11:20
エジプト戦では八面六臂の活躍を見せた石川も、アメリカ戦では輝けず。格上との戦いでこそ真価が問われる。
データ解析がもたらした戦術の実効性。
ブロッカーとディガーの連動が、頭で考える前に体が動く、という域に達するまでにはかなりの鍛練を要するが、今年8月、アジア選手権やヨーロッパ遠征の中で実戦を数多く重ねたことでシステムの精度がぐっと高まった。
割り切ったブロックでワンタッチを取れたり、抜けたボールをディガーが拾うことができている。
リベロの永野は言う。
「今、はまっているのは、スタッフの方が一生懸命データを取って、傾向をしっかり読んでくれているから。僕らはその通りにできるようにするだけです。データ通りじゃなかった時にも、アナリストが試合中に素早く新しいデータを取ってくれて、すぐに指示が回ってきます」
相手がトップレベルのチームになるほど、絞り込む範囲は狭く、大胆になる。試合中、ブロッカーがトスと全く違うところで跳んでいる姿を見るのは、割り切ったブロックをしているからだ。
例えば5戦目に対戦した世界ランク4位、イタリアチームのセッターは、セットの前半しかクイックを使わないというデータがあったという。
そうしたデータをもとに、ロンドン五輪銅メダルのイタリアに対しても、ディフェンスはある程度機能した。ただ、イタリア戦は、ブロックに阻まれてスパイカーが得点につなげられなかった。
真価が問われるワールドカップ第2ラウンド。
前半戦を終えて、日本は3勝2敗。
勝ったのはエジプト、オーストラリア、カナダで、日本よりランキングは上位だが、強豪と呼べるチームではない。
一方、イタリアや世界ランク5位のアメリカにはセットカウント0-3、1-3で敗れ力の差を見せつけられた。
大会開幕前、日本が上位チームに勝利するためのポイントとして選手たちが挙げていたのは、サーブで攻めること、レセプションでの直接失点を減らすこと、被ブロックやスパイクミスを避けることの3点。
勝利した試合ではそうした戦い方ができていたのだが、相手がトップレベルになるとそれができなかった。
特にイタリア戦は、日本のサーブミスが多く、逆にセットを追うごとに威力を増すイタリアのサーブに9本ものサービスエースを奪われた。攻撃でも、劣勢になるほど、決め急いでブロックに捕まったり、スパイクミスが出た。
日本は、不利な体勢では相手ブロックに当ててリバウンドを取り、何度も攻め直すという粘り強さが攻撃においても欠かせない。
そうした3つの課題は、16日に大阪市中央体育館でスタートする後半戦に持ち越された。
まずはサーブで攻め、好調のディフェンスからチャンスをものにして先行し、相手に思い切りサーブを打たせない状況を作ることが先決だ。
終盤戦に待ち構えるアジア最強のイランや、アルゼンチン、ポーランド、ロシアといった世界のトップ集団の一角を食って、全日本男子の変化が本物であることを証明して欲しい。