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男子バレー代表、まさかの会場満員!?
若いエースと爽快な試合が面白い。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKYODO
posted2015/09/16 11:20
エジプト戦では八面六臂の活躍を見せた石川も、アメリカ戦では輝けず。格上との戦いでこそ真価が問われる。
チームを勢いづかせるスパイクレシーブ。
今大会、日本はよく拾っている。リベロの永野健(パナソニック)を筆頭に、チーム全体が、身長2mをゆうに超える外国人選手の強烈なスパイクをしつこく拾い、その度に会場はどよめく。
そのボールを生きのいい若手や、好調な清水邦広主将(パナソニック)が勢いよく決めるから、観ていて爽快で面白い。
前半戦の5試合を終えて、永野がベストディガー(スパイクレシーブ)ランキング1位に立ち、チーム別ランキングでも日本がトップだ。
これまでも外国人選手に日本のイメージを聞くと、必ず「ディフェンスがいい」と答えた。しかしそれはあくまでも、昔、強かった頃の日本のイメージだ。
最近は海外の大型チームもディフェンスを磨き、日本より守備のいいチームはいくらでもあった。
今回、日本はどうして拾えるようになったのか。その理由には、割り切ったブロック・ディフェンスのシステムがはまっていることが挙げられる。
すべての攻撃を止めに行かず、絞り込むブロック。
ミドルブロッカーには身長204cmの山内や200cmの鈴木寛史(サントリー)、199cmの出耒田敬(堺)という長身選手が揃ったとはいえ、全体的には高さで大きく劣る日本は、相手のトスを見て反応するブロックだけでは、打点の高い海外のスパイクに触ることは難しい。
全部の攻撃を追いかけても得るものは少ないため、どこかを捨てて、どこかに絞り込むという戦術をとっている。
相手の攻撃の傾向を、ローテーションごとや、レセプション(サーブレシーブ)の状態別に細かく分析し、ブロックをコートの幅9mの半分、4.5mの範囲に絞ったり、ミドルブロッカーが相手のクイックを捨ててレフト側に走るというふうに大胆に割り切る。
そうした何パターンもあるブロックのシフトに合わせて、ディガー(レシーバー)が入る位置も細かく決まっている。
ベースにあるのは、2013/14シーズンに南部正司監督が指揮を執っていたパナソニックでアドバイザーを務めていた元ブラジル代表コーチが持ち込んだシステムだ。
それを昨年、南部監督が代表監督に就任するのと同時に代表にも取り入れ、日本人に合う形にアレンジを重ねてきた。