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男子バレー代表、まさかの会場満員!?
若いエースと爽快な試合が面白い。
posted2015/09/16 11:20
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
KYODO
今、日本男子バレーにちょっとした波が来ている。
9月8日に開幕したバレーボールのワールドカップ男子大会。
高い打点から鋭いスパイクを打ち込みチーム最多の24得点を挙げて、エジプトとの初戦勝利の立役者となったのは、19歳の新エース、石川祐希(中央大2年)だった。
観客の度肝を抜く活躍にも、試合後、本人は淡々としていた。
「緊張はありませんでした。ブロックがよく見えていた。でも、別に、いつも通り決まったなっていう感じですね。自分のイメージとしては普通。相手のブロックがあまりよくなかったのかな、と。今後も今日みたいにブロックを見ていけば問題ないと思います」
「開幕前は、『緊張するかも』と話していましたが?」と問われると、「いや……、もうちょっと人(観客)がいるかなと思ってたので…」と苦笑した。
試合ごとに観客が増えていった理由。
男子大会の前に行なわれた女子大会の日本戦は、毎試合満員の賑わいだった。
その様子をテレビで観ていた男子の選手たちは、自分たちもその雰囲気の中でやるのだとイメージを膨らませていたのだが、ふたを開けてみれば、開幕戦のスタンドはガラガラ。拍子抜けしたのだろう。
女子の注目度、期待度に比べ、今大会に出場している12チームの中で下から2番目の世界ランキング20位にまで落ちている男子は、開幕前、ほとんど注目されていなかった。
しかし、石川や、その対角に入る23歳の柳田将洋(サントリー)、21歳のミドルブロッカー山内晶大(愛知学院大4年)といった若手選手の溌剌としたプレーや、白星によって、周囲の反応は目に見えて変わった。
初日に約3000人だった観客数は、2日目には約4000人に増え、その数字以上に会場の熱気は高まった。4日目、5日目の試合のチケットは完売となり、選手の入り待ちをするファンの人垣も100人を超えた。
中でも一番の歓声を浴びているのが石川だ。