沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
短くも実り多かった2015年の夏競馬。
世界の騎手大集合と、怪物候補たち。
posted2015/09/08 10:30
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
NIKKAN SPORTS
先週一杯で札幌と小倉の開催が終了し、夏競馬が幕をとじた。
今週から舞台は中山と阪神に移り、秋競馬がスタートするわけだが、今年は札幌の開催が昨年より2日間少ない12日間だったこともあり、夏競馬が短く感じられた。
かつては札幌、函館とも開催は16日間あり、北海道シリーズは32日間というロングランだった。それが徐々に少なくなり、今年は札幌と函館が12日間ずつの24日間だった。
JRAの開催は基本的に土日だけなので、単純計算で8日間=1カ月間と計算できる。つまり、かつては4カ月間だった北海道シリーズが3カ月間になったわけだ。
JRAの年間開催日数は、最大288日間と定められている。北海道シリーズで減ったぶんは、東京、中山、京都、阪神などの「中央場所」に回される。出走頭数が少なく、下級条件のレースが多いローカル開催より、中央場所のほうが馬券が売れるからだ。
私は売上至上主義が悪いと言うつもりはない。日本競馬は世界一の売上があるからこそ賞金が高額になり、世界中から優れたサラブレッドの血を導入し、コースもスタンドも最新の技術で綺麗に保つことができる。
であるから、売るための努力やシステム構築は当然必要だと思う。が、効率を重視するあまり、乗客が少ない鉄道の路線を廃止するのと同じような「切り捨て」には疑問を感じる。
関東、関西から馬と一流騎手が集まる。
北海道シリーズは、3歳馬と古馬が本格的に対決を始める舞台として見応えがあり、例えば、1988年の函館記念でサッカーボーイが前年のダービー馬メリーナイスを5馬身突き放した衝撃的な走りは、30年近く経った今でも忘れられない。
馬産地が近いため、2歳戦も面白くなる。
また北海道シリーズは、関東馬と関西馬の対決の場であり、東西の一流騎手の腕比べも見どころとなる。毎年トップジョッキーが集まるので、伝統的に若手が技術を磨く場になっており、松永幹夫、横山典弘、蛯名正義、藤田伸二といった歴代の名手も、若手時代に札幌、函館で揉まれて腕を上げた。
そうした意味を持つ開催をここまで縮小してしまうと、将来なんらかのツケが回ってくる恐れがある。