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バルサとレアルの下部組織が危機に!
期待の若手を次々と放出する理由は? 

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工藤拓

工藤拓Taku Kudo

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posted2015/08/05 10:40

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カタルーニャ人であり、他クラブのユニフォームでプレーしたことがないサンペールは、カンテラにとっても貴重な存在。しかし、トップチームに彼の席が空くのはいつになるか……。

バルサに見切りをつけ、移籍の道を選ぶ選手も。

 こうした状況下、近年下部組織のラ・マシアではトップチーム定着のチャンスを諦め、早々に他クラブへと移籍していく選手が増えてきている。フル代表デビューにまで至ったモントーヤやジェラール・デウロフェウが戦力と見なされず、ペドロですら十分なプレー時間を得られない現状を考えれば、それも仕方のないことだ。

 実際、今夏のプレシーズンでトップチームに帯同しているカンテラーノの中で、生き残る可能性があるのはムニルとサンドロくらいだろう。その彼らもメッシ、スアレス、ネイマールからなる「MSN」のバックアッパー扱いであり、継続的に出番を与えられるかどうかは分からない。

 他の選手たちに与えられた選択肢ははっきりしている。他クラブにレンタル移籍して状況が変わるのを待つか、バルサBに残って3部でプレーするか、バルサを諦めて完全移籍するかしかない。

 昨夏加入したばかりのアレン・ハリロビッチなどはレンタル移籍が濃厚と見られているが、多数のビッグクラブから目をつけられているサンペールやアダマ・トラオレは、バルサ以外のキャリアを選ぶ可能性がある。しかし、前者は一度も他クラブでプレーした経験がなく、ラ・マシアの全カテゴリーを経てトップチームデビューを果たした史上初の選手。後者も8歳からラ・マシアでプレーしてきた選手であり、ここまで育ててきた末に手放すにはあまりにも惜しい人材だというのに。

レアルでも、カンテラーノが投売り状態。

 だがそんなバルセロナの現状も、レアル・マドリーの下部組織「ラ・ファブリカ」と比べればましなものだと言えるかもしれない。

 バルサBより1年早く3部へ降格したカスティージャ(レアル・マドリーのBチーム)は昨季、ジネディーヌ・ジダンを新監督に据えて1年での2部昇格を目指したものの、結局は昇格プレーオフに進出することも叶わなかった。

 しかもカスティージャとU-18世代のフベニールAの間に位置したレアル・マドリーCを今季から廃止することが決まったため、この夏はカンテラーノの売りつくしセール状態となっているのだ。

【次ページ】 スペインの2強が多国籍軍になるのも味気ない。

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