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なぜ門別競馬場は黒字化できたのか。
ネットの力と、馬産地独自の魅力。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byAkihiro Shimada

posted2015/07/25 08:00

なぜ門別競馬場は黒字化できたのか。ネットの力と、馬産地独自の魅力。<Number Web> photograph by Akihiro Shimada

門別競馬場の直線にはモニターもあるが、やはり全体に暗いことは否めない。照明の増設が望まれるところだ。

コースも新設、照明増設も検討中。

 しかし、いくら場内の居心地をよくしても、肝心のレースが見応えのあるものでなければ、早晩ファンは離れてしまう。そのあたりはどうなのかと思ったら――。

 こちらも、いろいろ努力のあとが見える。

 昨年までは、ダート1200メートルの次に長い距離は1700メートルだったのだが、今年内回りコースを新設し、1500メートルと1600メートルのレースができるようになった。馬産地競馬だけに2歳馬戦が全体の4割ほどを占めており、馬の生育段階に応じた設定が必要だと考え、距離のバリエーションを増やしたという。

 ただ、内回りの3、4コーナー沿いに照明がないため、1500メートルと1600メートルでレースが行われているのは自然光で競馬ができる時間帯だけだ。北海道軽種馬振興公社総務部企画広報室の佐藤直志室長によると、北海道から予算が降りれば、来年以降は内回りでもナイターをやれるよう照明を増設する方向で考えているという。

 また、これも馬産地競馬ならではの現象なのだが、門別競馬場に在籍する馬の6割ほどが牝馬である。強い牡馬は早い時期にJRAや南関東に移籍することが多いため、どうしてもそうなるようだ。加えて、現役引退後牧場に帰って繁殖生活を送る牝馬を大切にする風土も影響していると思われる。

 その状況に合わせ、ブリーダーズゴールドカップを牝馬限定重賞とし、さらに2歳牝馬限定の重賞を新設するなど、牝馬の流通を促すための手も打っている。

 さらに、平成24年に900メートルの屋内調教用坂路コースを完成させ、強い馬づくりと、冬場の調教環境改善を目指したことも、ホッカイドウ競馬全体のレベルアップに寄与している。

インターネットでの販売もJRAと協力して拡大。

 そして売上げアップの何より大きな推進力となったのは、昨年度から本格的に始まったJRAの『即PAT』による発売実施など、インターネットによる馬券販売の拡大だ。そのほか、重賞の全国発売を増やし、競馬を開催していない日にJRAの馬券発売を実施し、手数料収入を増加させるなどした。

 ザッとまとめると、

(1)場内環境の整備
(2)馬とレースのレベルアップ
(3)ネット発売の販路拡大

 といった3つをポイントに努力を重ね、黒字体質への転換に成功したようだ。

【次ページ】 平成26年度、ついに累積赤字をすべて解消。

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