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香川真司の「数字と日常」を学ぶ。
ドルトムント・丸岡満、19歳の転機。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/07/24 10:50
7月7日に等々力陸上競技場で行なわれた川崎フロンターレtoの親善試合でゴールを決めた丸岡。トゥヘル新監督のもとでは、昨シーズン以上に出場のチャンスに恵まれるかもしれない。
「今までは、一度頭で言葉を考えてからだった」
後半28分のことだ。ホフマンが放ったシュートがGKにブロックされ、ボールがペナルティエリアギリギリのところへ跳ね返る。ボールの落下点に最も近い位置にいたのはシュテンツェルだ。
しかし――。
とにかくゴールを決めなければ。
そう感じていた丸岡が、シュテンツェルに後方から大きな声をかけ、思い切りよく右足を振り抜いた。シュートはゴールのわずか右に外れてしまったが、丸岡はこのシーンについてこう振り返っている。
「僕のほうが体勢は良かったので、(シュテンツェルに声をかけて)スルーしてもらって。ああいうところで、自然と声が出るようになりましたね。今までは、一度頭で言葉を(ドイツ語で)考えてからだったのでちょっと遅れていましたけど、今は反射的に声が出る。そういうところでも、試合中にもコミュニケーションは取れているのかなと思います」
香川が教えてくれた「数字」の必要性。
UEFAのクラブランキングで10位につけるドルトムントの選手たちと練習や試合で一緒にプレーできるのなら、お金を払ってでも留学したいと考える選手はいくらでもいるはずだ。U-23にあたるセカンドチームの登録とはいえ、丸岡はドルトムントから戦力として評価され、少なくともあと1年はプレーできるチャンスを得た。
トップチームの普段の練習に呼ばれることも多く、相手にリードを許している状況で投入された昨シーズンの第4節・マインツ戦のように、今シーズンもいつチャンスが訪れてもおかしくはない。ピッチに立つことで得られる経験は何物にも代えがたく、同じ世代の選手たちが羨むような環境を手にしている。
では、どうして丸岡はゴールにこだわると誓ったのだろうか。その理由を尋ねると、こう答えた。
「真司くんは(ゴールやアシストなどの)数字を残して、すごくビッグな選手になりましたよね。そうやって、近くにいる先輩の背中を見たからです。『数字を残さないと上には行けない』というのを教えてくれたんです」