スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
ホームラン・ダービーと若手の台頭。
~新ルールでよりエキサイティングに~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2015/07/18 10:40
最後は地元の英雄フレイジャーに屈したが、マチャド、ドナルドソンを下して見事2位に輝いたドジャースのジョク・ピーダーソン。
8人中4人が25歳以下、と若手の躍進が目立つ年に。
ちなみに、出場8選手のうち半数の4人(ピーダーソン、マチャド、リゾ、ブライアント)が開幕時25歳以下というのは特筆すべきではないか。なにしろ今季のオールスターは、若手の台頭が目立つ。故障で出場を辞退したジャンカルロ・スタントンやソニー・グレイを除いても16人が選ばれているのだ。ブライス・ハーパー、マイク・トラウト、マチャド、ブライアントなどはドラフト1巡目の選手だが、リゾは6巡目、ピーダーソンは11巡目と意外に下位指名だ。カーディナルスから選ばれた救援投手のトレヴァー・ローゼンタールなどは、なんと21巡目の指名だった。
若手がこれほど進出したのは、最近では2008年以来ではないだろうか。あの年は、ティム・リンスカム、ライアン・ブラウン、ハンリー・ラミレス、ダスティン・ペドロイア、ジョー・マウアー、ラッセル・マーティン、エヴァン・ロンゴリアらが25歳以下だった。このなかで今年も選ばれたのは、マーティンとブラウンのふたりだけだ。
もっとも、球史を振り返ると、とんでもない年がある。1956年のオールスターには25歳以下の選手が12人選ばれたのだが、そのうち7人(ハンク・アーロン、アーニー・バンクス、アル・ケイライン、ミッキー・マントル、エディ・マシューズ、ウィリー・メイズ、フランク・ロビンソン)が殿堂入りを果たしているのだ。ジャッキー・ロビンソンが「人種の壁」を破ってちょうど10年目。7人のうち4人がアフリカ系アメリカ人というのも歴史の流れを感じさせる。今季の16人のうち、太く長く大成する選手は何人いるだろうか。
12分間に39発のホームランを放った2人。
おっと、ホームラン・ダービーの結果を書き忘れるところだった。第2ラウンド(準決勝)は、ピーダーソンが12対11(逃げ切り)とプーホルスを破り、フレイジャーが10対9(逆転)でドナルドソンを降した。そして決勝。ご承知のとおり、栄冠に輝いたのはオールスター開催地シンシナティの英雄フレイジャーだった。スコアは15対14(逆転)の大接戦。フレイジャーとピーダーソンは、どちらも12分間(4分間×3)に39発のホームランをつるべ打ちした計算になる。来年は、制限時間をさらに短縮し、より密度の高い戦いを見せてもらいたいものだ。