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逆境になればなるほど……なでしこ!
酷暑、日程の不利乗り越えベスト4。
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph byFIFA/FIFA via Getty Images
posted2015/06/28 13:00
ゴールを決めて喜びの咆哮をあげる岩渕。ケガからの復帰直後にもかかわらず、明らかに今大会におけるラッキー・ガールとしての存在感を示し始めている。
「逆境になればなるほど強いのがなでしこの良さ」
そして、この試合のプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出された宇津木も、こう続ける。
「ピッチは本当に暑くて、足の裏の皮もかなり痛かった(笑)。でも、忍耐力があって、逆境になればなるほど強いのがなでしこの良さ。(決勝弾は、左CKのこぼれ球を宇津木がシュートし、こぼれ球を岩清水梓がつなぎ、最後は岩渕が詰めるカタチとなったが?)絶対に自分のところにこぼれてくるだろうなと思っていたし、シュートは詰まってしまいましたが、前に転がれば何かが起こると思っていました。終盤は自分たちもバテましたけど、試合のあとにチームメイトと話しても、みんな延長に行くような感じは無かったと言ってました。(この試合のプレーヤー・オブ・ザ・マッチになったことは?)そんな風には全然思っていません。ほかの10人のおかげです」
宇津木の証言からは、酷暑という条件こそ両チームにとって同じだったものの、なでしこはオーストラリアよりも影響が少なかったということが分かる。
守備でも、相手を上回る出足でセカンドボールを激しく追いかけていた宇津木たちは、警戒していたカウンターもキッチリ封じていた。
「速いカウンターは嫌だったが、蹴らせて対応するのか、それとも蹴らせないのか、その判断もうまくできていたと思う。カメルーン戦の失点がいい教訓になりました」(宇津木)
攻撃では、今大会なでしこにとって7人目の得点者も生まれ、更なる弾みになっていた。
「また、違う選手がゴールを取ってくれた。それもケガから復帰したぶっちー(岩渕)だったのは、特に良かったです」(鮫島)
宮間「この先は、勢いが大事になる!」
鮮やかな緑のピッチに、照り付ける太陽。そこに、黄色と緑のオージーカラーとジャパンブルーが流れる――。終盤には、オーストラリアが立て続けに長身選手を投入する展開となったが、正直に書くと、筆者は2006年ドイツW杯でのカイザースラウテルンのジーコ・ジャパンの敗戦が頭によぎった。だが、そんな心配も杞憂に終わった。
連覇まで、残り2つ。
主将の宮間あやは、今後の戦いについて「じっくり戦って、勝てる試合ではなくなってくる。この先は勢いが大事になる!」と話したが、なでしこにとっては終了間際の決勝弾で、まさに勢いの付く勝利となったのではないか。